∵背徳的









私達の関係は不純な物だ。いわゆる不倫って奴。柔造は仕事で忙しいって奥さんを騙して私と会ってくれてる。悪い奴だなぁ。でも、奥さんには悪いけれど少し鈍いんじゃ無いかなって思う。だって私は密かに柔造へ私の痕跡を残してるの。もしかしたら奥さんは気付いているけど知らないフリをしているのかもしれない。

がぶり、と喉元に噛み付く様な口づけを貰う。心地好い痛みに顔が歪む。私はこの瞬間がすきだ。奥さんじゃなく、私を求めて来てくれるってわかるから。
私も柔造の首筋へがぶり。

「なんや、今日はやけに積極的やな。」
「そう?」

嬉しい気持ちを隠さずに柔造は言った。そういう動物的な所で子供っぽい所もすき。私だけが知っている柔造。

「ねぇ。」
「おん。」
「もし私が死んだら悲しい?」
「悲しいに決まっとる。そんなん答えるまでも無いわ。」
「だよね。」

お互いがお互いを慈しむ様に愛を囁く。本当、馬鹿みたい。こんな背徳的な行為。だけどそこには刹那的な愛がある。今の私達はそれでいい。


「…!ったくまたこんな所に…。」
「あら、いいじゃない?可愛いわ。」
「…見えない場所だからええけど…。」

柔造は私がつけたシルシをさすっていた。何だか無性にキスしたくなったから「キスして」と言った。直ぐに私の唇から額、首筋のエリアに接吻豪雨が押し寄せた。雨はしばらく弱まる事がなかった。


私といえばただ暫くその不埒で不確かな愛に埋もれていた。









弟の妊娠/110911
cue Aに参加させていただきました!





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