氷る猫の暗躍 | ナノ
05.サッカーとかしてみる
【ティオ】
「やーだー。湿ってるー」


乾かしていたシャツを洗濯ばさみから外し、その渇き具合を確かめてから呟く。
バッドエンド王国は湿気が多くて困る。今度乾燥機を買おうかな。いやしかし金欠気味だった。学費払ってたら足りないなぁ……。
そもそもここにコンセントはあるのだろうか。今更だが電気が通っているとは聞いていない。
昔は電気がないことは当たり前だったのに、現代に慣れるとその生活が当たり前になるからこういう時不便だ。
じめじめした服特有の香りに眉をしかめ、ファブリーズを手に取り噴きかける。
生乾きの感触を素肌に感じ、朝からテンションが上がらない。
日光よ、あなたの存在意義は洗濯物にあったのですね。
太陽の偉大さに改めて気づき、真っ暗な空を見上げる。
せめて電気は通ってなくていいから太陽くらいあればいいのに。
あ、でも太陽あったらバッドエンドって感じしないわ。どちらかというとハッピーエンドって感じだわ。それは駄目だわ。
やっぱ乾燥機ほしいわぁ、とため息を落とす。
制服のボタンを留めていると、後ろから「ドスンドスン」と重量感のある足音が聞こえてきた。



【ティオ】
「おっはよー」


【アカオーニ】
「おはようオニ!今日は早起きオニね」


【ティオ】
「自然と目が覚めちゃった。僕ったら超健康的!」


【アカオーニ】
「それはよかったオニ!」



顔をクシャッと歪めて笑うアカオーニ。アカオーニはこういう笑みが似合って、素敵だと思う。
アカオーニはそんな笑みのまま僕の横を通り過ぎ、自分が干していたトラ柄のパンツを手にとって「いい感じに湿ってるオニ」と言っていた。おいおい嘘だろう。
他人との感性はここまで違ってしまうのか……。
思わず言葉に詰まっていると、アカオーニは上機嫌にパンツを履いて、咆哮を放ち、




【アカオーニ】
「洗い立てのパンツで気分爽快オニ!!」




そいつはよかったな。




【アカオーニ】
「俺様、今日も一っ働きしてくるオニ!!」


【ティオ】
「お、おう」


【アカオーニ】
「ティオも早く行かないと遅刻するオニよ!!」



アカオーニはそれだけ元気良く言うと、金棒を担いでさっさと行ってしまった。
腕時計を確認すると、時刻はまだ六時半。
どんだけ未来を生きているんだと、アカオーニがスキップしていった廊下を見つめた。




結果的にはみゆきちゃんを待っていたせいで遅刻ギリギリになってしまったが、僕の仕事は勉学を収めることではなくプリキュアの捜査なので気にしないことにする。




 
>>
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -