「ウールッフルーン」
バッドエンド王国に軽快な声が響き渡る。
丁度岩に壁パンをし終わったウルフルンは、目の前から駆け寄ってきた人物に思いっきり顔をしかめた。
もっと詳しく言えば、めんどくさそうな雰囲気を出しながら顔をしかめた。
【ウルフルン】
「何の用だ、ティオ」
【ティオ】
「やだなー、そんな顔しないでよー」
名前を呼ばれた人物、ティオは「にゃはは」と特徴的な笑い声を上げ、その場で軽快にクルリとターンしてみせた。
【ティオ】
「で、なんだっけ。プリキュアとかいうのに負けたんだって?」
【ウルフルン】
「っ、テメエには関係ねえだろ!!」
【ティオ】
「ありゃ、本当なんだ?」
ウルフルンがわかりやすく激昂してきた。自分で「はい、そーです」とでも言っているようなものだ。
【ティオ】
「うーふーふー。恥ずかしがらなくてもいいんだよーウルフルーン。『負け』や『敗北』なんて、そんなもの生きている上で必ず経験するものなんだから」
【ウルフルン】
「はっ、ご性善説どーも」
【ティオ】
「もー、素直じゃないなぁ君って。まぁ君だけに限った話でもないけどさ」
猫の耳をピコピコ揺らし、猫のように口元を歪め、
【ティオ】
「そーだー。良いこと思いついたー」
【ウルフルン】
「……待て、ティオ。嫌な予感がするぞおい。またろくでもない事考えてるんじゃ…」
【ティオ】
「僕、プリキュアの潜入捜査してくるよ!」
【ウルフルン】
「だぁー!!やっぱりだ!!んな勝手なことしてっと怒られんぞ!俺が!」
【ティオ】
「いつもウルフルンには僕の生贄になってもらって申し訳ないと思ってるよ……」
【ウルフルン】
「うっそくせ!!」
【ティオ】
「失礼な。僕の目をみてごらんよ!」
【ウルフルン】
「そ……その目は嘘を吐いている目!!」
【ティオ】
「真に遺憾である」
口ではそう言うものの、表情は変わらず笑顔のティオ。
必要以上に疲れているウルフルンは、そんなティオに怒りもしなかった。すでにティオへの怒りはとうの昔に過ぎ去っているのである。
【ウルフルン】
「ティオ!いいか、ぜってぇ勝手な行動起こすなよ!怒られんのはいつも何故か俺なんだからな!」
【ティオ】
「なによりも早さが足りない」
【ウルフルン】
「なんで制服になってんだよ!俺が一瞬目を逸らした隙に何が起こった!ていうかもうすでに用意万端じゃねえか!知ってたろ!俺がプリキュアに負けた事確認をとるまでもなく知ってたろ!!」
【ティオ】
「あ、今……認めましたね?」
【ウルフルン】
「うっぜ!!クソうっぜ!!」
ゲッチュの手でそう言われ、ウルフルンの怒り有頂天なり。過去に過ぎ去っていたものが再び戻ってきたようだ。
【ウルフルン】
「いいか、俺は別にてめぇがどうこうしようが構わねぇ。だが!だが!!」
【ティオ】
「ウルフルンうるさい」
【ウルフルン】
「誰のせいだと思ってんだ!いいからよく聞け!必ずアイツに許可を取れよ!!絶対だぞ!!」
【ティオ】
「なんかそれ」
【ウルフルン】
「フラグじゃねえからな!!」
すかさず反論。こいつ、できる。
【ティオ】
「やだーもー、お母さんみたいですやーん。大丈夫ー大丈夫ー、もう許可は取ってるから!」
【ウルフルン】
「……本当だな?信じるぞ?いいな?信じるぞ!?」
【ティオ】
「いつか人間不信になりそうだよねウルフルン」
【ウルフルン】
「誰かさんのせいでな!!」
叫ぶウルフルンに、「にゃはは!」と笑い、
【ティオ】
「そいじゃー早速手続きもろもろ済ませてくるから!ばいばーい」
と、元気良く手を振り、やはり軽快な足取りで走り去って行った。
ウルフルンは先ほど以上の疲れを感じ、ため息と共に肩を落とした。
【ウルフルン】
「ったく、アイツといいティオといい…相手をしてたら疲れがたまる一方だぜ……」
「そうですかぁ、それはそれは、お疲れ様ですぅ〜」
【ウルフルン】
「あっ」
ヤバッ、といった顔をするウルフルンに、まるで道化師のような男は一言、
「そういえば、ティオさんはどちらに…?」
【ウルフルン】
「潜入捜査、に…だな…?」
「…………」
【ウルフルン】
「やっぱ話してないじゃねえか嘘つきいいいいいいいい!!!!」
ぎゃあああああああああああ!!という断末魔を背に、ティオは涙をこらえ走り出す…
ありがとうウルフルン…そしてさようならウルフルン…君のことは、決して忘れない…!
「勝手に殺すな」という叫びすら耳に入れず、ティオは人間界へ走り出した。
スパイ活動に勤しんでみよう
バッドエンド王国に軽快な声が響き渡る。
丁度岩に壁パンをし終わったウルフルンは、目の前から駆け寄ってきた人物に思いっきり顔をしかめた。
もっと詳しく言えば、めんどくさそうな雰囲気を出しながら顔をしかめた。
【ウルフルン】
「何の用だ、ティオ」
【ティオ】
「やだなー、そんな顔しないでよー」
名前を呼ばれた人物、ティオは「にゃはは」と特徴的な笑い声を上げ、その場で軽快にクルリとターンしてみせた。
【ティオ】
「で、なんだっけ。プリキュアとかいうのに負けたんだって?」
【ウルフルン】
「っ、テメエには関係ねえだろ!!」
【ティオ】
「ありゃ、本当なんだ?」
ウルフルンがわかりやすく激昂してきた。自分で「はい、そーです」とでも言っているようなものだ。
【ティオ】
「うーふーふー。恥ずかしがらなくてもいいんだよーウルフルーン。『負け』や『敗北』なんて、そんなもの生きている上で必ず経験するものなんだから」
【ウルフルン】
「はっ、ご性善説どーも」
【ティオ】
「もー、素直じゃないなぁ君って。まぁ君だけに限った話でもないけどさ」
猫の耳をピコピコ揺らし、猫のように口元を歪め、
【ティオ】
「そーだー。良いこと思いついたー」
【ウルフルン】
「……待て、ティオ。嫌な予感がするぞおい。またろくでもない事考えてるんじゃ…」
【ティオ】
「僕、プリキュアの潜入捜査してくるよ!」
【ウルフルン】
「だぁー!!やっぱりだ!!んな勝手なことしてっと怒られんぞ!俺が!」
【ティオ】
「いつもウルフルンには僕の生贄になってもらって申し訳ないと思ってるよ……」
【ウルフルン】
「うっそくせ!!」
【ティオ】
「失礼な。僕の目をみてごらんよ!」
【ウルフルン】
「そ……その目は嘘を吐いている目!!」
【ティオ】
「真に遺憾である」
口ではそう言うものの、表情は変わらず笑顔のティオ。
必要以上に疲れているウルフルンは、そんなティオに怒りもしなかった。すでにティオへの怒りはとうの昔に過ぎ去っているのである。
【ウルフルン】
「ティオ!いいか、ぜってぇ勝手な行動起こすなよ!怒られんのはいつも何故か俺なんだからな!」
【ティオ】
「なによりも早さが足りない」
【ウルフルン】
「なんで制服になってんだよ!俺が一瞬目を逸らした隙に何が起こった!ていうかもうすでに用意万端じゃねえか!知ってたろ!俺がプリキュアに負けた事確認をとるまでもなく知ってたろ!!」
【ティオ】
「あ、今……認めましたね?」
【ウルフルン】
「うっぜ!!クソうっぜ!!」
ゲッチュの手でそう言われ、ウルフルンの怒り有頂天なり。過去に過ぎ去っていたものが再び戻ってきたようだ。
【ウルフルン】
「いいか、俺は別にてめぇがどうこうしようが構わねぇ。だが!だが!!」
【ティオ】
「ウルフルンうるさい」
【ウルフルン】
「誰のせいだと思ってんだ!いいからよく聞け!必ずアイツに許可を取れよ!!絶対だぞ!!」
【ティオ】
「なんかそれ」
【ウルフルン】
「フラグじゃねえからな!!」
すかさず反論。こいつ、できる。
【ティオ】
「やだーもー、お母さんみたいですやーん。大丈夫ー大丈夫ー、もう許可は取ってるから!」
【ウルフルン】
「……本当だな?信じるぞ?いいな?信じるぞ!?」
【ティオ】
「いつか人間不信になりそうだよねウルフルン」
【ウルフルン】
「誰かさんのせいでな!!」
叫ぶウルフルンに、「にゃはは!」と笑い、
【ティオ】
「そいじゃー早速手続きもろもろ済ませてくるから!ばいばーい」
と、元気良く手を振り、やはり軽快な足取りで走り去って行った。
ウルフルンは先ほど以上の疲れを感じ、ため息と共に肩を落とした。
【ウルフルン】
「ったく、アイツといいティオといい…相手をしてたら疲れがたまる一方だぜ……」
「そうですかぁ、それはそれは、お疲れ様ですぅ〜」
【ウルフルン】
「あっ」
ヤバッ、といった顔をするウルフルンに、まるで道化師のような男は一言、
「そういえば、ティオさんはどちらに…?」
【ウルフルン】
「潜入捜査、に…だな…?」
「…………」
【ウルフルン】
「やっぱ話してないじゃねえか嘘つきいいいいいいいい!!!!」
ぎゃあああああああああああ!!という断末魔を背に、ティオは涙をこらえ走り出す…
ありがとうウルフルン…そしてさようならウルフルン…君のことは、決して忘れない…!
「勝手に殺すな」という叫びすら耳に入れず、ティオは人間界へ走り出した。
スパイ活動に勤しんでみよう