氷る猫の暗躍 | ナノ
08.秘密基地探してみる
遠くから戦いを見ていた僕は、この戦闘に関するメモを取っていた。



【ティオ】
(今回は割かし早く決着ついたな…)



まあ巨体で単調な攻撃だけだったしね。
五人中四人が食い止めて一人が必殺技で浄化すれば済む話か。
だがそれにしても、巨体で単調だが攻撃力は高かったはず。
やっぱりプリキュアになった時は底知れない力が使えるのか…こりゃプリキュアモードで殴られたら一たまりもねえわ。



【ティオ】
「うん、まあ、今回はそれほど貴重なデータは取れなかったか」



キュアデコル奪われ損だな、おい。
これですでにプリキュア側にキュアデコルが七個そろったわけか…。
メモ帳にペンをはさみ、パタンと閉じる。
すると、満月の背景からいつもの青空に変わった。
あ、バッドエンド空間解けたのか。んじゃあウルフルン帰ったんだ。
まあアカンベェ負けちゃったし、逃げ帰るしかないよねぇ。
なんて思いながら空を眺めていると、後ろから「あれ…?」「おままごとセットはあ?」という幼女二人の声が聞こえてきた。
避難するために幼女二人がおままごとしてた場所から離れてったし、バッドエナジー放出してるときは記憶ないし、二人にとってはいつの間にかここにいたって感じなんだろうな。
僕は「めんどくさ…」と思いつつ、頬をこね、警戒されないよう笑顔を作った。



【ティオ】
「大丈夫?君たちそこの森で倒れてたんだよ?」



そういうと幼女二人は「え?」ときょとんとした。まーそうなるわな。



【ティオ】
「あ、ごめんごめん。僕はこのあたりに住んでる中学生で、ティオっていいまーす。気分転換にこの森散歩してたら君たちが倒れてたからびっくりしたよ。とりあえず町に運ぼうと思ってここまで来てたんだけど…。具合はどう?頭痛かったりしない?」



そういうと、幼女のうち一人が「あ、あう、大丈夫です」と受け答えた。
予想外に礼儀正しいな。



【ティオ】
「そっか。でも用心して今日は家に帰ったほうがいいね。あ…それとごめんね、おままごとの道具そのままにしてきちゃったから取りに行こうか」



そういうと、幼女二人は笑顔で「うん!」とうなづいた。



こうして僕は幼女二人の手を引いて皆のもとまで引き返し、幼女二人を家に送り届けた。
親御さんからお礼にともらったお菓子を手に、僕たちは不思議図書館へ引き返した。
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