氷る猫の暗躍 | ナノ
08.秘密基地探してみる
【黄瀬やよい】
「だって……、一度でいいから、行ってみたかったんだもんっ」


【日野あかね】
「だもんっ、……やないやろー」



ごもっともである。
そんな困り顔のあかねちゃんの肩に、なおちゃんが手を置いた。



【緑川なお】
「まーまー!全く二人ともしょうがないなぁ。ここは私に任せて!」



今度はなおちゃんの番か。常識人なだけ期待できそうだ。
二人のときとは打って変わって、僕は安心した気持ちで彼女に続いた。



続いてきた場所は、ピンクを基調とした、ぬいぐるみに囲まれたいかにも女の子らしい場所だった。



「「「かわいー!」」」


【緑川なお】
「でしょー!まあ座って座って!」



すでに座っていたなおちゃんに、着席を促される。
やわらかいクッションの上に座り、足を休める。
ようやく落ち着けるかなー?



【緑川なお】
「なおは昔からかわいいものが好きなのよね」


【みゆき&やよい】
「「へぇー」」


【日野あかね】
「そうなんや!うちもかわいいもん、めっちゃ好きやねん!」


【みゆき&やよい】
「「へぇー!」」


【ティオ】
「へー。なんかちょっと意外ー」


【緑川なお】
「む、意外ってなによー!」


【ティオ】
「いやいや、だいたいかわいいもの好きってことは予想できてたけどさ、なんかあるじゃん。スポーツ好きのイケメンな女子ってかわいい物好きを隠したりするパターン!かわいい物好きがバレて、『ち、違うのよ!これは違うの!』とか見え見えの照れ隠しをしたりするような。それのイメージがあったからなんか意外」


【日野あかね】
「……ティオって、ちょっとオタクなとこあるよな」


【ティオ】
「なんだいその目は」



まことに遺憾である。



【日野あかね】
「まあそれにしても、ここめっちゃ最高やーん!こんなかわいい子たちに囲まれてお好み焼き食べたら、それこそウルトラハッピーやー!」


【緑川なお】
「じゃあ、とりあえずお茶にしよっか!」



と、なおちゃんが持参のバスケットを開いたところで、



「あのぉー、お客様……。店内でのご飲食は、ご遠慮頂きたいのですが……」



えっ



【星空みゆき】
「ここって……ぬいぐるみ屋さん?」



バッと見回す。
棚、そこに飾られたぬいぐるみ、リカちゃん人形、極め付けに……レジ。
なるほど、紛うことなきぬいぐるみ屋さんだ。



「わあ!かわいー!」



呆然としていると、子供の声がした。
そして、今までいた場所にいないキャンディー。
なぜか、見慣れない子供の手の内にいるキャンディー。



「ママー!これ買ってー!」


【青木れいか】
「待って、その子は違うの!」



ぬいぐるみに勘違いされたらしいキャンディーは、そのまま売りに出されそうになっていた。



「「「おじゃましましたー!!」」」



慌てて荷物をまとめて店を飛び出し、そのまま走り出す。



【星空みゆき】
「今の所、素敵だったのになー!」


【キャンディー】
「キャンディー売られちゃうかと思ったクル!」



無事取り返せたキャンディーが不服の表情で訴える。
不服を感じる前に恐怖を感じてほしい。



【日野あかね】
「よっしゃー!次はうちの番やなー!」



先頭を走っていたあかねちゃんが、いきり立ちながらそう叫んだ。
僕は最後尾から「待って!」と叫んでいる走り遅れてるやよいちゃんに足払いをかけ、倒れそうになったところを抱えてまた皆と一緒に走り出した。
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