氷る猫の暗躍 | ナノ
08.秘密基地探してみる
【星空みゆき】
「えっと、電話デコルをデコルデコールにセットして……」



時刻は昼休み。
いつものように中庭で昼食をとり、「この間手に入れた電話デコルを試してみよう!」ということになった僕たちは、みゆきちゃんの膝の上に置かれたデコルデコールを眺めていた。
電話デコルをセットされたデコルデコールは中央部から光を発し、ホログラムのように若干透けたポップを映し出した。なにこれ最先端。



【ポップ】
『皆の衆、電話デコルをしっかり使いこなしているようでござるな』



感心したように言うホログラムのポップ。
しかしそんな感心した台詞には興味はないらしく、むしろちゃんと繋がったことに感動したらしい皆は「ポップー!」と感嘆の声をあげ、ポップに手を振っていた。
テンションあげあげな皆に若干遅れを取りつつ、ポップも困惑したように手を振り返してきた。



【緑川なお】
「ちゃんと通じてる!」


【黄瀬やよい】
「これでいつでも話せるね」


【星空みゆき】
「うん!」



和気藹々と談笑するみゆきちゃんたちを眺めていると、ふとその後ろを、名も知らぬクラスメイトが通りかかるのが見えた。
基本、プリキュアに関しては秘密である。
ここでホログラムなんて目立つものが見つかってしまえばバレてしまう可能性が高い。
皆はどうやらデコルデコールに夢中なようで、迫り来る危機に気づいた様子はない。
仕方ない、と背もたれから身を乗り出す。



【ティオ】
「やっほー」


「やっほティオ!」



僕が声をかけた事により、皆も事情を知らない人間が接近しているのに気づいたらしく、慌ててデコルデコールを隠しだした。



「何々、皆集まって何してるの?」



しかし、焦って隠すのが一歩遅れたようで、中途半端にかたづけられたデコルデコールやキャンディーを、冷や汗を流しながら横目で見つめる皆。
僕が行動を起こすのが遅れたのもあるか……すまん皆。
どうしようかと考えていると、横にいたあかねちゃんがいきなり、「あー!!」と大声を出しながら空を指差した。
あまりの勢いと気迫に、クラスメイトの二人もつられて指された方向を見上げた。
次いで「UFO−!!」と叫ぶあかねちゃん。
思いのほか大きな声だったようで、中庭にいたその他大勢もざわざわと上を見上げだした。
あかねちゃんが作ってくれたこの隙に、大慌てでキャンディー諸々を隠す。




【ティオ】
「公共の場は無理があるねぇ……」




ため息交じりに吐き出した言葉に、れいかちゃんだけが「そうですね……」と頷いてくれた。



 
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