氷る猫の暗躍 | ナノ
07.決め台詞とか決めてみる
【キャンディー】
「お兄ちゃん帰っちゃうクル?なんでクル!?いやぁークルゥー」



時刻は夕方。
夕日に照らされながら、僕たちは一種のドラマを見ていた……。
兄弟の涙ながらのお別れとかどこのドラマだよホント。



【ポップ】
「拙者はメルヘンランドの任務があるのでござるよ」



ポップが説得するも、キャンディーは泣きながら首を横に振るだけ。



【ポップ】
「寂しくなったら、電話デコルを使えば、デコルデコールから話せるでござる」



それでもキャンディーは、その大きな目から大粒の涙を流すだけ。



【ポップ】
「キャンディー、お兄ちゃんとの約束、覚えてるでござるか?バイバイするときは?」


【キャンディー】
「……スマイルクル……」



キャンディーは泣きながら自身の両頬を持ち上げ、無理やりに笑顔を作る。
その様子にポップは困ったような笑顔で、「偉いでござる」と言いながらキャンディーの頭を撫でた。
来た時のようにポップは絵本の中へと入り、別れの挨拶を言って飛んでいってしまった。
飛んでいった方向を、皆はずっと眺めていた。
やよいちゃんがポツリと、「行っちゃった……」そう呟いた。
それが皮切りに、今まで無理やり笑顔を作っていたキャンディーの両目から、また涙が溢れてくる。
ああ、また泣き出してしまうかなぁ。と呆れ半分同情半分で見守っていたところ、みゆきちゃんがキャンディーを抱きかかえ、




【星空みゆき】
「大丈夫だよ、キャンディー。ほらっ」




そういって、キャンディーに僕らが見えるように、振り返った。




【青木れいか】
「キャンディーには、わたしたちが付いています」


【黄瀬やよい】
「皆友達だよ」


【日野あかね】
「いつもそばに居んで」


【緑川なお】
「だから泣かないで」


【ティオ】
「ね、キャンディー」



皆のように、バカのようにまっすぐな慈しみの気持ちを持ち合わせて居ない僕が混ざるのはいかがなものかとも思ったが、参加しないのもアレなのでそれっぽい声音で語りかける。
どうやらうまく騙せたようで、キャンディーはうれしそうな表情で瞳を潤ませていた。




【キャンディー】
「ありがとうクル、キャンディーは…キャンディーは……」




さて、どんなお涙頂戴の台詞が出てくるのかと身構えていたが……




グゥ〜〜……




【キャンディー】
「…お腹空いたクル」




とんだ裏切りだ。




【星空みゆき】
「……んもぉー、キャンディーったらー」




しかし、なんだかおかしくなって笑えてきてしまった。
僕が吹き出すと、皆にも伝染したようで笑い声は大きくなってゆく。
ああもう、なんだよ畜生。面白いじゃないか。




め台詞とか決めてみる




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ポップのあの尻尾にモフモフしたいとか思ってるのは私だけではないはず。
それはそうと、ようやくジョーカーさん出現回でしたね。
これで心置きなくジョーカーさんをぼかすことなく出演させられそうです。
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