氷る猫の暗躍 | ナノ
07.決め台詞とか決めてみる
キャンディーが抱きついてわかったが、兄と呼ばれた生物のほうが身長というか、体格が大きい。
今は噴水のように涙を流しているキャンディーを、兄と呼ばれた生物が朗らかな顔であやしていた。
「あのー……」とみゆきちゃんが控えめに声をかけた事で我に返ったらしい生物。
キャンディーを、そのモフモフとした尻尾でじゃれつかせながら、改めて自己紹介に入った。



【ポップ】
「失礼いたした。拙者はポップと申す。妹が世話になっているでござる」


【星空みゆき】
「こ、こちらこそ」



ご丁寧に頭を下げてきた相手に、こちらも一斉に下げ返す。
なんか時代劇掛かった妖精だ。



【キャンディー】
「おにいちゃん、あれやってークル?」


【ポップ】
「ふふっ、よしよし」



甘えっこ特有、「場の空気を読まずお願いをする」発動。
キャンディーの兄であるポップは慣れているのか、むしろ嬉しそうに対応した。



【ポップ】
「ターバン巻きでござる!」


【キャンディー】
「嬉しいクルー♪」



あの黄色い耳を上手にまとめ、ターバンのようにしてしまった。
その様子をそばで眺めていたあかねちゃんが、ポップの頭をなでつつ、



【日野あかね】
「へぇー、お兄ちゃんもかわいいやん!」



そう言った瞬間、今まで丸まっていたポップの耳が勢いよく伸び、あかねちゃんの手を跳ね除けた。
耳ってそんな使い方あるのか、便利すぎる。
ポップはいっそうキリリッと顔を引き締め、



【ポップ】
「拙者は男…。かわいいなどとは、無礼でござる!!」



おかしい。背景に荒波が見える。


自分の目の錯覚を信じ、目をこすっていると



【黄瀬やよい】
「かっこいぃ〜!」



やよいちゃんが散りばめんとばかりに目を輝かせていた。



【ポップ】
「か、かっこいい、?」


【黄瀬やよい】
「うん!男らしくてかっこいい!」



やよいちゃんの言葉に、呆然としながら頬を赤く紅潮させるポップ。



【ポップ】
「ゃ、あの、せ、拙者は別にホグゥッ!!」



ポップはもじもじしながら高速で後ずさり、ベランダへと続く段差に躓いて勢いよく後ろへ倒れた。
最近の女子より初心ってどういうことなんだ。



 
<<>>
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -