【フゥ太】
「クレープ美味しいねリーナ姉」
【リーナ】
「ふぉっふふぁらふぇっふぇふぇふぉ」
【フゥ太】
「何言ってるかぜんぜんわかんないよリーナ姉」
【リーナ】
「ふぉふぉっふ、ふぇふ!ふらふぁふぇっふぉ!!」
【フゥ太】
「リーナ姉……ここ地球だから人語でお願いします…」
私服に着替えたリーナは、フゥ太と手をつなぎながら評判のクレープを頬張っていた。
口に入れた状態で喋っているので、もはや誰もわからない言葉となっている。
フゥ太も理解できないようで、「人語でお願いします」と頼みにかかっていた。
もぐもぐと数回の咀嚼ののち、ごっくんと飲みこし、
【リーナ】
「うむ、美味であるな」
【フゥ太】
「よかった、リーナ姉が日本語を喋ってくれた」
いらんところで子供に心配をかける吸血鬼である。
【リーナ】
「して、次はどこへ行こうか」
【フゥ太】
「え……と、そろそろツナ兄の体育の時間だから、こっそりランキングしたいな」
【リーナ】
「ほう?ならばここですればよい」
【フゥ太】
「ごめんねリーナ姉、そうもいかないんだよ」
【リーナ】
「ん?」
何か問題でもあるのかと、リーナは不思議そうな顔でフゥ太を見つめる。
フゥ太は困ったような顔で、「にしし」と笑うと、
【フゥ太】
「ランキングをするときは、対象となる人を直接見なきゃならないんだ」
【リーナ】
「なるほどな。それでは学校へ行こうか」
【フゥ太】
「うん!」
納得、とでも言いそうな顔でリーナは微笑むと、フゥ太の手を握りなおし進路を変えた。
【フゥ太】
「リーナ姉」
【リーナ】
「ん?」
そんなリーナのすそをクイクイとひっぱると、フゥ太は真剣な表情で、
【フゥ太】
「その前に」
【リーナ】
「……なるほどな」
フゥ太の言いたいことがわかったリーナも、また目の前の男の子と同じように真剣な表情になる。
もともと中学生女子と小学生くらいの男の子が、この平日の昼間に街にいること事態目立つと言うのに、その二人がいきなり真剣な表情をしだしたとなれば更に目立つ事この上ない。
周りの人々が緊迫した様子で見守る中、二人はつかつかと歩み、手にもっているクレープを包んでいた紙を丸めるとポイっとゴミ箱へ捨て、
【リーナ】
「ゴミは」
【フゥ太】
「ゴミ箱にね」
周りの人々全員が盛大にこけた。