Vampire Tale | ナノ








【リーナ】
「下校のチャイムが鳴ったから帰ってよいか?」



そんな言葉で闘いを終わらせられたのは正直言って、雲雀恭弥は始めてだった。
最初こそ「は?ふざけんな(要約)」と引きとめたが、



【リーナ】
「……ルールとは、守るからこそ意味があり、守らなければそこに意味は存在せんのだ」




というわけで、さらばだ。

そう言ってリーナは三階からきちんと荷物を持って飛び降りた。
人の事は言えないが、彼女もボロボロなはず。
地面でスプラッタになった死体もしくは足をした彼女を確認しようと見下ろせば、何事もなかったかのように、まっすぐ校門へ向かう姿が。
「ワオ」と自分の口からいつもの口癖が無意識のうちにこぼれる。
雲雀はしばし逡巡し、



【雲雀】
「……哲」


【草壁】
「はい」



いつの間にかそばに控えていた草壁哲矢へ話しかける。



【雲雀】
「僕、あの子風紀委員に入れたいんだけど、手続き済ませてくれる?」


【草壁】
「わかりました」



草壁に異論はなかった。あるはずがなかった。
自分の尊敬する人に対し、対等に闘い抜き、更にその人が認めたのだから。
校則に従順な姿勢も好感が持てた。
それ以上に、委員長が決めた決定事項だ。逆らえるはずがない。
草壁は「まずどこから手を付けようか」とすでにリーナと風紀委員会へ入れる算段を頭の中で立てていた。
命令した当の本人は無意味に、リーナが通り過ぎて行った校門をじっと見つめていた……。



 




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