【ツナ】
「(な、なんだこりゃ〜〜!)」
あれから戦闘は激化し、トイレの前は大惨事と化していた。
殴りあう二人と、周りに地へ伏す数人の一般生徒&リーゼント。
巻き込まれた野次馬と、二人を止めに入ろうとして返り討ちにあった風紀委員ということが容易に想像がつく。
しかしあまりに非現実過ぎた。
なぜなら、男改め雲雀恭弥は薄笑いを浮かべ、
対する女改めリーナは「HAHAHAHAHA!!」と豪快に笑いながら、
お互い殴りあっているのだから。
その最中、リーナは一瞬だけツナたちのほうに視線を向け、
【リーナ】
「貴様はあのときの少年ではないか!このようなところで奇遇だ!挨拶にいこうと思っておったのだが我も色々あってな!今はこやつの相手をしておるし正式な挨拶は今度だ!我から出向くので覚悟しておけ!」
【雲雀】
「余所見とは余裕だね」
【リーナ】
「グッ!……ふっははは!いい拳だ!」
顔にもろにトンファーを食らったリーナは口から血を流しながらいっそう笑い出す。
ツナたちはその様に背筋が寒くなる思いをしたが、
しかし対峙している雲雀は面白そうに笑みを深めた。
【リーナ】
「よい!よいぞ!やはり人間は飽くことがない!素晴らしい!変わらぬものがあるというのは素晴らしいな!ふははははは!!」
【雲雀】
「意味わかんない」
【リーナ】
「おおそうだ少年!貴様今度学校を案内してくれぬか!我はこちらに来て日が浅いゆえ勝手がわからぬ!教えてくれると非常にありがたい!」
【獄寺】
「てめぇ十代目になに指図してやがる!」
【山本】
「まぁまぁいいじゃねーか!俺は大歓迎だぜ!リーナ!今度案内してやるよ!」
【リーナ】
「ほう!ありがたい!感謝するぞ!」
【雲雀】
「だから、余所見するな」
先ほどの笑顔はどこへやら、不機嫌そうな顔をした雲雀の一撃を今度は受け止め、
【リーナ】
「そうすねるな。貴様の相手はこれからであろ?」
【雲雀】
「……そうこなくっちゃ」
再度、殴り合いを始めた。
その様子に、ツナはなにかしらの疲労感を覚える。
めまいがしそうだ。ツナは目頭を押さえた。
そこへ、
「ちゃおっす」
スタッと小柄な影が降り立つ。
【ツナ】
「り、リボーン!」
【雲雀】
「! 赤ん坊」
【リボーン】
「ダメツナ、さっさと帰るぞ」
リボーンの登場により、いつもの無茶振りで「二人を止めてこい」とでも言い出すかと思っていたツナは、「え?」と拍子抜けしたような声と顔をした。
そんなツナへリボーンは蹴りを食らわせ、
【リボーン】
「ただのじゃれあいだぞ。邪魔するのは野暮ってもんだ」
【ツナ】
「いてて……そ、そういうもんなの?」
【リボーン】
「そういうもんだぞ。腹が減ったからさっさと帰るぞ」
そうして思わず膝をついたツナを再度蹴って立ち上がらせ、強制的に立たせる。
【ツナ】
「じゃ、じゃあ帰ろうか……」
【獄寺】
「うす!」
【山本】
「なのな♪」
もと来た道を回れ右し、帰路につく。
リボーンに気を捕らわれている雲雀の様子に、リーナはあくどい笑顔を浮かべ、わき腹へ蹴りを入れる。
いきおいのあまり、近くの階段から転げ落ちる雲雀。
【リーナ】
「油断禁物だ。覚えておけ」
ムスッとした顔の雲雀へあざ笑いかける。
その様子を振り向きざまに見ていたツナは、
【ツナ】
「あ、あれ……じゃれあいなの?」
【リボーン】
「じゃあお前が止めるか?(チャキッ)」
【ツナ】
「い、いいです!さ!帰ろう帰ろう!」
瞬時に前へと向き直り元気な足取りで帰宅していった。