沢田綱吉は放課後の帰宅準備をしていた。
そばにはいつもの獄寺と山本がいる。
【獄寺】
「十代目!一年のクラスにこの間の生意気な女が転校してきたようです」
【ツナ】
「へっ?生意気って……あの、リーナさん?」
【山本】
「おっ、あいつ転校してきてんのな!明日声かけにいかねーとな!」
【獄寺】
「この野球バカ!そうじゃねえだろ!なんで十代目のお手を煩わせなきゃいけねぇんだ!普通向こうからくるべきだろが!」
【ツナ】
「ま、まぁまぁ獄寺君……」
いつもの二人のいさかい(といっても獄寺の一方的なもの)をいさめる。
そしてツナは珍しく、自分から声をかけてみる気持ちになっていた。
ついこの間会ったばかりの彼女がどうこの学校で生活しているのか、ツナも気になるところではあるのだ。
【ツナ】
「明日会いにいってみようよ。俺も気になるし、もしかしたら転校して日も浅いから色々大変でこっちにこれないからかもしれないじゃない」
【獄寺】
「じゅ、十代目がそうおっしゃるのなら……。俺もお供させてもらいます!」
【山本】
「俺も一緒に行くぜ!転校してすぐだし、もしまだだったら友達の俺らが学校案内してやんないとな!」
【ツナ】
「(山本、もうリーナさんと友達でいるつもりなんだ……やっぱすごいな…)」
山本の前向きな姿勢に呆れもあるが、一種の尊敬の念を抱きつつ、ツナはまとめた荷物をからった。
放課後になって少々ではあるが時間も経っているし、流石にもう帰っているだろうとこの場の全員が自然にそう思っていたからだった。
とたん、
「おい!一年のトイレの前で雲雀さんと転校生が暴れてるぞ!」
と、教室に駆け込んできたクラスメイトが開口一番そう告げた。
ツナの中では「ええええ!?雲雀さんとリーナさんが!?」と驚愕の悲鳴がこだまする。
とりあえず二人にどうするかたずねようと顔を見る。
ツナは固まった。
山本はいつもの表情に真剣さを加え、獄寺は気に入らないものでもあるかのように眉根にしわを刻んでいる。
【山本】
「ツナ、見に行こうぜ」
【獄寺】
「あのやろー、十代目に挨拶もせずに、勝手に暴れるたぁいい度胸だぜ……」
【ツナ】
「えっ、ちょっと待って!う、うわ!!」
二人に引きずられるようにして、ツナは教室を後にした。
その様子を見て、にやりと笑う人物一人。
教室の外の木の枝で様子を伺うのは、言わずと知れた我らがリボーンさんだった。