Vampire Tale | ナノ





【リーナ】
「貴様らの全力はその程度のものか?」




フハハハハ!教卓の上に足を組んで座り、教室を一望しながらリーナは高笑いを決め込む。
クラスメイトの一部(いじめに積極的な方々)が「くっ……!」と今にも言いそうな顔で顔を歪めていた。
立場が明らかに違う。普通反対だ。

しかし、この教室は普通ではない。

転校生が初日でいじめっこの初撃をかわし、あまつさえ「かかってこい!」と煽ったことから普通ではないとわかるだろう。
今日も朝からそうだった。
登校の待ち伏せは殴るどころか一発も当てる事かなわず返り討ちにされ、
下駄箱のゴミは綺麗に片付けられ、
上靴に入れていた泥は洗い落とされ、いったいどういう魔法を使ったのか乾燥し履かれ、
教室のドアの上のバケツの水は最小限の動きで回避され、
教室の机の上に置かれた花、机の中の生ゴミ類は「三分間で片付けてやる!」という宣言のもと本当に三分で片付けられ、
机とイスの表面に塗られた粘着剤は見破られ、今はクラスメイトの性格の荒れている不良が座らされていた。もちろん立てないし腕は机にくっついているしで動けない。


結果をご覧の通り、看破されていた。


そして冒頭へ。


【リーナ】
「ふふん、もっと気張ってもらわぬと我がつまらぬであろう。ほら、頑張れ。教官殿がこられるまでまだ時間があろう?」


ククククク……と笑いそうなあくどい笑顔。
その上背を反らし、顔を若干上に上げ見下してさえいる。



完全に悪の女帝です。本当にありがとうございます。



【リーナ】
「ほれ、はようしてみるがいい」



ドーン、と効果音でもつきそうな態度にクラスメイト全員たじたじだ。
無理もない。
今まで、泣いて、傷ついて、肩身を狭くして、縮こまっている、弱い存在たちしか相手にしてこなかったのだから――



【リーナ】
「それとも、弱い者しか相手にできぬか?」



ハッ、と全員が顔を上げた。
今しがた自分たちが考えていた事を、的中してみせたリーナに驚きを隠せないでいた。
驚きの色を混ぜた瞳に、リーナはフッと笑い、



【リーナ】
「他者から言われたのでは意味がない。答え合わせは自分自身でするがいい」



教官殿がおいでだ。
そういって教卓をスタッと降り立ったと同時に、教室の前のドアがガラリと開かれ、やる気のなさそうな担任が「?」と疑問符を頭に浮かべながら入ってきた。





 




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