チョコなんていらない
「ばれん…たいん?」
【おや、知りませんでしたか?腹ペコキャラな貴女の事ですから私はてっき「おい人を勝手に腹ペコキャラにしてんじゃねぇよこのやろう。私前にも同じこと言ったよね?ポンコツか?ポンコツなんですか?もしかしてポンコツ通り越してポテトなんですか?ねぇ?」りご存知かと】
「言い切るんだね!私ビックリ!」
【バレンタインの起源まで遡って説明して差し上げるほど私も優しくはありませんので簡単な現状だけ教えてあげましょう。私の優しさに感謝してくれたっていいんですよ?】
「喋んな」
【おやおや?ご機嫌を損ねてしまいましたか?なんとも気が短い人ですね貴女は!】
「あ、鳥」
【追い払ってください!早く!早く!早く!Hurry up!!急いでください!Chell!お願いしまっていないじゃありませんか!!】
「楽しかった。ありがとう」
【やっぱり貴女は人でなしですね!わかってはいましたが!】
「で?バレンタインってなによ」
【毎度の事ながら散々振り回した貴女が最終的に会話の主導権を握っている事に、私は疑問と憤りを覚えてますよ。知ってましたか?知るはずありませんよね。知ってます。だって貴女ですから。さて。バレンタインについて、でしたね】
「GLaDOSもなかなかだと思うよ」
【もともと私達の国では男性が女性に花を贈り愛を伝えるのが主流でしたが、アジアのとある島国の某製菓会社がチョコレートを売りたいという営利目的のもと、"女性"が"意中の相手"へチョコレートを渡し愛を伝える。という文化に改変し流行らせてしまったんです。もっぱら、最近では"意中の相手"より友人や普段お世話になっている方にチョコを贈る人が増えましたが】
「えっ。えっ。ごめん。ちょっとよくわかんない。つまりどういう日なわけ?」
【好きな人や普段お世話になっている方にチョコを渡す日です】
「へぇ。外はそんな事してんの。暇だね」
【食い付きが思いの外悪いですね。頭でも打ちましたか?】
「なんでそうなるのよ。もしかしなくてもGLaDOSのOSバグってんじゃねぇの?」
【だってChellはいつだって腹ペ「お黙り」コじゃないですか】
「言葉を喰った意味を考えようね!?あとちげぇから。常時腹ペコじゃねぇから。勘違いだから。止めようね、そういうの」
【いらないんですか?チョコレート】
「くれるんなら貰うけどさ、私達には要らないじゃない。そういうの。回りくどいよ」
【はい?】
「好きなら好きって言えばいいだけじゃない」
【残念でした。私が貴女に差し上げるのは所謂義理チョコと呼ばれるものですよ。ガッカリしましたか?ガッカリしましたか?】
「すっっっっごいイラッとしたからちょっとポテト持ってくるね。すぐ戻るから待ってて」
【ちょ!?】
[チョコなんていらない]
「チョコよりもGLaDOSが欲しい」
【私はChellよりチョコが欲しいです】
「マジで?」
【どうでしょう?】
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