タイトルなくしました | ナノ

バカも捨てたもんじゃない

「……」


なんか…嫌な予感がする


「なんでだろ」


胸騒ぎが、おさまらない


『……Chell』

「Wheatley?」

『…GLaDOSが』


うそだ

そんなの、うそにきまってる

だって、だってだってだってGLaDOSは


『おいChell!?』


走ってた。考えるより先に身体が動いていた
背中でWheatleyの声を受けながら頭の中はずっとさっきの言葉がぐるぐる回ってる

――『GLaDOSが****』

うそだ。そんなのうそっぱちだ。Wheatleyがうそを吐いてるだけ。そうに決まってるんだから


「GLaDOS…ッ!」


いそげ、いそげ、いそげ、いそげ

間に合わなくなるぞ

いや、ちがう。ありえない

何に間に合わなくなるって言うんだ?

Wheatleyのアレはうそなんだろう?

だったら急ぐ必要なんてないじゃない

そうじゃない

ちがう

あれ。なにがちがうんだろう?

Wheatleyはなんて言ってたっけ?

ああ、そうだ、たしか


「ッ!GLaDOS!!」

【……ジジ…ザ…ザザ…Aperture Scienceコンピューター制御トレートレートレトレトトトトトジ…ジザ…】


――『GLaDOSが…壊れた』


「うそ…でしょ…?」

【Aperture Scienceコンピュータ…コン…ジ…】

『…Chell』

「うぃ……とり…」


なんで?なんでGLaDOSが…?

ねぇ教えてよ、どうして?なんで?
なんでGLaDOSだったの?
コアなら全部修復したじゃない
Carolineの人格だって全部全部全部


「なんでよ…」

『…バグデータが、あったんだ』

「え?」


バグ?なんで?ウィルスやバグは全部ワクチンソフトが働く筈じゃない
それにバグに犯されてたなんてそんな素振りは一切……いや、まてまてまて思い出せ

あったじゃないか。何度も

みてきたじゃないか。傍で

何度も何度もフリーズしてたじゃないか

あ の 日 か ら


『思い当たること、あったか…?』

「そんな…うそだよ、だってGLaDOSはわかんないって…だから私は…」

『いいか、Chell。俺たちはAIなんだ。人格がある。自分で考えることができる。人間と同じように。心だってあるんだ』

「わ…たしは…」

『傷付いたり、喜んだり、悲しんだり、怒ったり、楽しんだりだってするんだよ。同じ様になにかを好きになったりもする』


好きになれるのは知ってる
GLaDOSがCarolineのことを友人と呼んで好いていたのも知ってる
ケーキが大好きなのも、知ってる


『GLaDOSがこうなる前の最後のログがあるんだ』


クラシックが好きでよく聴いてるのも、全部知ってるつもりだった


『アイツは最期までお前の事を考えてたみたいだぜ』

「……」


結局つもりなだけで、GLaDOSの事全然知らなかった


『お前が帰ってきてから、お前たちが俺を生き返らせた時も、俺とお前でコアを修復した時も、お前が頭うって気絶した時も、お前がぶっ倒れた時もいつだってずっとだ。わかるだろ?』

「バカだよ…GLaDOSは」


私とおんなじ、バカだ
もしかしたらここにはバカしかいないのかもしれない


『教えてやれよ、バグの意味を。Chellなら届くさ。俺にできるのはせいぜいハッキングで道を作ることぐらいだ』


それでもいいかな。バカしかいなくても


「Wheatley手伝って。思春期のバカ叩き起こすよ」

『任せろ相棒』


そのバグの持つ意味ぐらい知ってるんだから







[バカも捨てたもんじゃない]

ぜってー取り戻すから覚悟しとけ
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