人でなしの恋 | ナノ


part21

私、あなたには驚かされっぱなしです。
何故って、あなたは何もかも、私の知らない新しい物を持ってやってきたんですから。

いつも浮かべている曇りない笑顔も、

ぶっ飛んだ思考も言動も、

愛の告白も、

すべて新鮮で退屈する暇がありませんでしたよ。
もちろんテストも今までにない発想で解いていかれたので驚きました。
あなた、頭は悪いくせに発想やひらめきは人一倍ですよね。
ファイルはまだまだ沢山空きがありますが、それでも一人をこんなに記録するのは彼女以来でしょう。

……あなたは頭は悪いですが、それでも人間です。
私を見たら、きっとあなたは離れていくのでしょう?
何故か怖いのです。
あなたが離れていってしまうと思うと、怖いのです。
理解不能です。私はどこか故障したのかもしれません。
ですが、私の故障は後回しです。とにかくあなたを足止めしなければ。
じゃないと、私の故障以上に、大変なことになるような気がして。




「……GLaDOS?」




ああ、ほら。
だから、大変な事になるって。




【……見つかってしまいましたね】


「本当に……GLaDOSなの?」


【そうですよ。やった価値はありましたか?】




あなたの声が震えている。
表情が硬い。表情筋が痙攣したようにこぎざみに動いている。
だから、会いたくないと言ったじゃないですか。
夢を持つだけにしておけばよかったものを。




「や、」


【……や?】


「や、や、……」




嫌、とでもいうつもりですか。




「……やっと会えた!!」




瞬間、いつも浮かべる明るい笑みが。




「まさかロボットとは予想外だったけど、うん、俺の想像以上に綺麗だよGLaDOS!やっぱり俺と結婚してください!」


【あなた、正気ですか?】


「いたって正気だよ!」


【脳のどこかに欠陥があるかもしれません……近いうち診察を受けてください】


「えっ、なんで?」


【ロボット相手に綺麗だとか結婚を申し込むなんて、正気の沙汰ではありません】


「そんなことないよ」


【なら、あなたは異常性癖の持ち主だったのですか?】


「いや、俺も前は普通に人が好きだったよ」


【では、何故】


「そんなの決まってる」




あなたはいつものように、消去グリッドをくぐるときのように悠々と私に近づいて触れ、




「君が俺の愛したGLaDOSだからだよ。GLaDOSがGLaDOSであるかぎり、人間だろうが動物だろうがロボットだろうが、俺の愛が変わることはない」





愛が国境も性別も越える時代だもの、生物の壁を越えてもいいじゃない





(だから俺と結婚してください)
(……いやです)
(この期に及んでも断れるそんな君が好きいい!!)

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