part19
「……よっと」
【……なんだか今日は元気がありませんね?】
「えっ、そ、そう?気のせいだよ!気のせい!よーしお兄ちゃんコンパニオンキューブをスーパーボタンに置いちゃうぞぉー」
【私の目は誤魔化せませんよ。いったいなにを隠しているんです?】
「なにも、隠してないよ?」
【……まさかあのときのエロ本……】
「覚えてた!?いや、あれはちゃんと元の場所に戻したし!持ってないし!」
【……一度あなたの部屋を調べてみる必要がありますね】
「ベッドの下は見ないでね!?」
【なんですか、なにかあるんですか?そう忠告されると気になるというのが人間の心理ですよね?見ちゃいますよ?】
「いやーっ!」
【さて、悪ふざけはここまでにして、なにかありますね?どうしたんです?】
「べ、別に?」
【正直に言えばご褒美をあげますよ】
「え、マジで」
【本当です。嘘はいいません】
「……いや、うん。あのね、ウザいの承知で言うよ。いい?」
【どうぞ】
「……GLaDOSって俺のこと嫌い?」
【……は?】
「いやだってさ!この間GLaDOSに会いたいって言ったら「嫌!」って拒否したじゃん!全力で拒否したじゃん!だから嫌われてたのかなって思ったら落ち込んじゃってさ!GLaDOS!もし俺が嫌いなら正直に言ってくれ!バカだから自分じゃ気づけないよおおお!!」
【……はぁ】
「俺バカだからさあああ、言ってもらわないとわかんないって!過去にいた友達も皆ただ一緒につるんでいるだけの人間だったのに俺だけが友達だって思い上がってたこともあるくらいだからさあああ!言って!大丈夫、君に「死ね」って言われたら死ねるくらいGLaDOSが好きだから!」
【……くだらないですね】
「うっ……」
【私が本当にあなたのことが嫌いなら、今頃生きているはずがありません】
「……え?」
【私ならまず嫌いな相手を焼却炉に一年間放り込み、二年目は超低音冷蔵棟に幽閉します。その後十年間、私が製作したチェンバー内でロボットに怒鳴りつけられる日々を送らせ、最後に殺害します】
「なにそれこわい」
【……いいですか、つまり、今あなたが生きているということが、一番の証拠です】
「え、つ、つまり……?」
【……私はあなたのこと、嫌いではありませんよ】
「好き!?」
【嫌いではないだけです!好きでもありません!】
「それはそれでショックだけどありがとうGLaDOS!嬉しいよ!」
【そうですか。ではご褒美に……今日の予定にテストをあと三つ追加しましょう】
「えええええええええ!!??」
バカにだって過去がある
(元気じゃないあなたなんて、あなたじゃありません)
(早くいつもの調子に戻ってください)
(まぁ、調子に乗りすぎても面倒ですが)