人でなしの恋 | ナノ


part1

けたたましい汽笛が鼓膜を揺らす。
レールと車輪の擦れ合う金切り声のような甲高い音。
近づいてくるまぶしいライト。





――俺、このまま死ぬんだろうか





視界の隅に、左右に交互に点滅する赤いライトを捕らえながら、呆然と青年は思う。
まぶしいライトが眼鏡に反射して、僅かに目を細めた。






――あはは…、今更腰でも抜けちゃったのかな…動けないや……これで死んだら、絶対沢山の人に迷惑がかかるのになぁ……最後まで迷惑な人間だよ俺ってやつは……






自嘲気味に笑って、まったく動いてくれない足を見つめる。






――結局、俺は守れたのだろうか……





思い浮かべる、自分と似た面影を持った少女。


そして、少女を……妹を守るために振るった、赤く染まった斧を握り締める。






――ごめんな、最後まで兄ちゃん、弱くて……






間近に迫ったライトがまぶしすぎて、ほぼ目を閉じるくらいに細める。






――……ごめんな…





目の前が、あかく、染まった。





 

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