<※最後、キス表現有>

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普通の男ならあそこで、私を抱き上げるだろう。
普通の男なら...

あのあと冷たい床に、そのままの状態で1時間待たされた。

“仲間をここへ呼ぶ。待っていろ。”

それだけを言い残し、やっと戻ってきたかと思えばそこにはただの白いクマ。それも人間の言葉を話す。

「何よ、あんた!トラファルガーは?」

「キャプテンは忙しいから...」

「ハァ?クマに用は無いのよ!」

「クマで、すみません。」

どうも私のペースが狂う。本来ならば心をかき乱して、男が落ちていく瞬間を楽しむのに。
乱されているのは私のほうだ。

(こういうこともあるわね。気にしなくていい。たまにはこういうのもいいじゃない。)





「足を診る。じっとしてろ。」

「あら、白衣。似合うじゃない?」

白いむさ苦しいクマに抱かれ、やっと船に乗せられたかと思うとすぐに診察台に乗せられる。

乗りたいのは貴方の上よ、なんて淫らなことを考える。見れば見るほどいい男だ。白い白衣が、それを更に引き立てる。

冷たい空気がぞくぞくさせる。
この男を落としたら、どんなに気持ちがいいだろう?

「治る?」

「あァ。」

素っ気ない返事。最初に見せた優しさは、一体なんだったのか。そのミステリアスなところが、名前の心をさらに惹きつけた。

男の術中に嵌ったとも知らないで、その中へ自ら入っていく。

「何も話さないのね。」

「.......」

ドレスのスリットから見える、白く細い脚にも目もくれず、淡々と進む処置に苛立ちを隠せない。

ただの奥手の男なのか?そんな疑問さえ出てくる。

「今まで何人と寝たの?」

「.........」

しばらく続く沈黙。これにも答えないのか、と名前は小さな溜息を漏らした。

(つまらない男...)





気が付くと目の前が真っ暗だった。長いまつげが視界に入る。唇には柔らかい感触。

「ん.....っ」

クチュっと音を立てて、舌が私の口内へと侵入してくる。
ねっとりと絡みつきは、逃げることを許さない。

(上手い......)

「余計なことは考えるな。 連れてってやるよ、まだ見たことも無い世界に。」

「何を...っ!」

私が貴方を連れてってあげるのよ!と必死で抵抗したが、こんなにもとろけるようなキスは初めてだった。

強張った筋肉が弛緩していく。名前はローに応えるかのように、彼の背中に手を回した。

甘い快楽に落ちていく。

落ちてはいけない、甘い罠に。

「ハァ...んっ...」

身体のそこから湧き上がる快感に、思わず吐息が漏れた。
攻めるはずが、いつの間にか攻められている。それを分かっているかのように、ローは名前の中をかき乱した。

息ができないほど激しく。

「ト、トラファ...ルガー...」

トロトロになった名前の秘部は、ヒクつきながらローを迎えるのを待っていた。
そして、あともう少しというところで、ローの身体がそっと離れる。

物足りない。

(女の扱いが上手いのね。)

ツーっと二人の唇を繋ぐ銀色の糸を手で拭う奥に、不敵な笑みが見えた。名前の背中にゾクっと電気が走る。





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