<真実>

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今、俺の背中に触れているのは一糸纏わぬ、名前の豊満な胸。
ぎゅっと押し付けられた身体があたたかい。というより、熱い。今にも汗が垂れそうだった。
この島は夜、冬のように冷える。それなのに、だ。

苦しいくらいに強く早く拍動する心臓。今にも切り取ってしまおうか、と思ってしまうくらいだった。

(俺はどうすればいい...?)





その日の夜、出航を明日に控え、船員たちは早めに眠りについた。ローも最近の睡眠不足加減にいい加減にしなくては出航に差し支えが出てしまう、と早めにベッドの中へ入った。
が、それが返って仇になってしまった。

「もう寝てるの?早いね。」

「最近、疲れているからな。」

「そっか...」

いつもは先に寝ている名前が、起きていたのだ。名前がやけに寂しそうな顔をする。

好きな女のそんな顔は見たく無い。だからつい、いつもの調子でいってしまった。

「フッ、本当に風邪でも引いたか?」

ぐいっと身体を引っ張り、名前の上へと覆いかぶさる。片手で長い髪を撫で、昼間につけた赤みを甘噛みする。

「ぁん...ッ。」

名前が息と共に漏らした声が、男を刺激した。欲望を解き放とうと硬く膨れ上がったそこが、腹部を圧迫する。

(クッ......!!)

そのあまりの苦しさにもう片方の手で、ボタンを外しチャックをずらす。
カチャカチャと言う音が聞こえたのか、名前のほうを見ると物欲しそうな目で、こちらを見つめていた。

「ロー...」

甘い声が、ローの心を苦しめる。名前が何を求めていて、そんな潤んだ瞳で見つめてくるのか。痛いほど感じていた。

自分の背中に回された腕が、逃げ場を無くしていく。あとには戻れない、そんな気さえした。

何も考えずに流れに任せればいい。そう考えるのだが、身体が動いてくれない。

俺は、何を恐れている?

(ちっ、めんどくせェ!!)

「もう、寝ろ!明日は早ェんだ。」

「きゃっ!!」

行き場の無い思いを振り払うかのように、勢い良く名前の手を振り払う。

(恰好悪ィ...)

今の表情を見られたくなかった。それを隠すために背を向けて毛布に、もぐりこんだ。名前はいま、どんな表情をしているのだろうか。
それは俺にも分からない。

ただ泣いているのだろうか、鼻を啜る音が聞こえてきた。そして、それと同時に何かを脱ぎ捨てた音がした。

「私って...そんなに魅力ない?私ってローの一体、何?」

俺の背中が熱くなった。





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