<目的>

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街から少し外れた荒屋、そこに名前は連れてこられた。

「そこでいい。縛っとけ。」

手を柱の後ろに回され、逃げないように縄で縛られる。少し縄が手に食い込む。その痛みを我慢しつつ、名前は彼らを睨んだ。

「あなたたち何が目的?」

「あいつを殺るんだよ。」

「私は人質ってわけね...。」

こんな風に弱みを握って誰かを殺ろうとする奴らほど、大抵弱いものだ。心が小さい奴は弱い。

「男なら真っ正面から戦いなさいよ。この、臆病者...っ!!」

「なんだと...?」

「臆病者って言ったの。」

バシ――ッ。
名前の頬に拳が当たる。

「調子に乗るんじゃねェぞ!痛い目みねぇとわからねェようだな!」

そう言って男は刀を手に取り、名前の身体へあてがった。胸の上をスーっと刃が伝う


「.....っ。悪趣味。」

青い色に赤が滲む。血が白い肌を伝っていくのが、破れた服の隙間から見えた。

「おら!次はこっちだ。」

太もものあたりに痛みが走る。男たちは服が破れ、その隙間から覗く白い肌を舐めるように見下ろす。
チラリと見える下着が、彼等の心を鷲掴みにする。その場にいた全員が、ゴクリと生唾を飲んだ。

「俺...勃ってきちゃったよ。」

「なぁ、お頭...。」

「少しくらい...。」

リーダーの男は下品な笑みを浮かべる。

「好きにしろよ。どーせならグチャグチャにしてやれ!」

「「「ひゃっほーいっっ!!」」

「お前、あいつの女なんだろ?犯ったらどんな顔するだろうな。」

「クク、楽しませてくれよ。」

名前を囲う男は3人それぞれの手が身体に伸びていく。

「意外とでけェな。柔らけー。」

「黒なんだぁ...ヒヒっ、セクシー。」

身動きできないことをいいことに、男たちは名前の身体を弄る。ただただ気持ち悪い。
目線を横にそらすと、今にも届きそうな位置に刀がある。見た感じ、この3人の男たちは弱い。リーダーの男はおらず手の縄さえ外れれば、刀を奪い逃げることもできそうだった。

「ねぇ...逃げないから外して?」

なるべく甘い声を出して誘う。

「あぁ?」

「手が痛いの...。」

その名前の表情に男たちは落ちる。ちょっと待ってろ、と縄を外し始めた。名前は手が自由になるとすぐさま刀に手を伸ばし、男たちが攻撃してくる前に大きく振り抜いた。
切られた傷と足が痛むが、そうも言ってられない。ここから逃げることだけを考えた。

「さっきのは嘘だったのか!」

「俺らとやり合おうってか!?」

「調子にのるな!」

男たちも刀を手にとる。ジリジリと名前と男たちは距離を保ちながら、でかたを待った。

「お前は逃げられねェんだ!」

先に仕掛けたのは男たちだった。刀を振り上げ名前のほうへ向かう。名前は軽い身のこなしで、振り下ろされた刃先を次々と避けると、ピンポイントで彼らの手を斬りつける。
大きな弧を描くように降り抜かれた刀は無駄な動きが無く、とても美しかった。それが名前の強さを伺わせる。

「「「いてぇ......っ!!」」」

男たちはあまりの痛さに刀を床に落とし、手を押さえた。

(思ったよりも足がキツイ...。)

踏み込んだときにズキズキと痛む。少し無理をしたせいか、先程よりも痛みが酷くなった。

「おい、なんの騒ぎだ。」

「お頭!」

(こんなときに...っ!!)

目の前に広がる光景を見たリーダーは全てを理解したようで、刃先を名前に向ける。

「何、命までは取らねぇよ。」

カキン―――ッ!!
二つの刀が重なり合う。怪我をした名前は上手く踏ん張ることができず、少し押され気味になった。
小さく痙攣する名前の足に、リーダーの男の視線が動く。

「ん?その足...痛めてんのか?」

(く...っ、バレてる。)

お互いを傷つけることなく、刃だけが重なり合う。
男は足ばかりを狙ってくる。
そのたびに足は痛み、ついに限界を迎えた名前がグラっとバランスを崩す。
四つん這いになる形で、床に倒れこんだ。

「勝負あったな。」

「あァ...!!」

背中が大きく斬りつけられる。

(足さえ怪我してなければ...。こんな奴らに...。)

「その足、切っておくか...。」

男が大きく刀を振り上げる。

(ローっ!!助けて...。)

″ROOM″

コツコツ―――――ッ。

「なんだ、これ。」

「誰だ!?」

″タクト″

「「うわッ!身体が浮いた!?」」

コツコツ――――。
だんだんその足音が近くなる。そして、部屋の中心でその足音は止まった。
部屋にいる人間の視線が、一気に中心に注がれる。

「うちのクルーに手を出したんだ。お前ら、分かってるんだろうな?」







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