<戦場>

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ドン!ドン!ドン!
ドガーン!!

建物の外では激しい戦いが、繰り広げられていた。しかし、名前達が外に出た頃には決着が着いたようで、投げ飛ばされた海兵達と金属の山がそこに存在しているだけだった。

「.....何があったの?」

その異様な光景に、思わず名前は呟いた。しかし、海軍の戦意はまだ失われていなかった。

「全兵一斉攻撃を開始する!海賊共を打ち取れ!ウォォォォォ!!」

カキーン!ガキンッ!!
銃の発砲音や刀のぶつかり合う音。海兵や海賊たちのうなり声。一瞬のうちに目の前は激しい戦場と化す。
名前は側に落ちていた剣を拾うと、目立たないように戦わないように、血が飛び交う戦場を進んでいった。

(シャンクスのところに戻らなきゃ。きっと皆、心配してる...。)

体力を温存しとかないと...。避けられる戦いは避けておかなくちゃ。幸い私を追ってくる海兵もいない。このまま海のほうまで逃げる!

(シャンクス......。)








「ハァハァ...一体何人いるの...。」

名前は戦場を駆け抜けていた。

途中数人の兵士達が攻撃を仕掛けてきたが、所詮は下っ端。傷一つ受けることはなかったが、次々と援軍も来ているようで、その人数の多さに嫌気がしていた。

「おい、そこの女ァ!お前も海賊か!」

「ッ!また?」

目の前に立ちはだかるその海兵は、ウォォと声をあげながら剣を振り上げた。が、名前のほうが早かった。振り上げられた剣が降ろされる前に名前が斬りかかり、男はその場に倒れていく。

「あれは........。」

名前は倒れていくその海兵の後ろに、あのときの細身の男を見つけた。

「半分は麦わら屋に感謝しな...!!」

「アイアイーッ!!」

次から次へと来る海兵をベポは、どんどん蹴り倒して行く。クマとは思えぬその機敏さに、海兵たちはたじろいでいた。先ほど、仲間にしたジャンバールを、背にローはスタスタと歩く。

「フフ......。」

「船長!行きましょう!!」

ベポが開けてくれた道を、頭にPENGINと文字の書かれた帽子を被った男が指を指す。

「あの女........。」

ローはその指の先に、名前の姿を見つけた。

「おい、お前ら。先に行ってろ。俺は用事が出来た」

「キャプテンっ!?」「船長!?」

ベポやペンギンたちが驚いて振り返ったときには、もうその場にローの姿は無かった。








「おい、そこの女。」

「さっきの......。」


ローは名前の頭から足の先まで視線を通すと、首のアザを見つめた。その眼の動きに名前は、ドキっとせずにはいられなかった。

能力もわからないルーキー相手に戦いたくは無いが、相手の出かたによっては戦いは避けられない。名前の剣を持つ手に力が入る。

「フッ、やはりな。」

ローはまたあの何かを企んでいるような、悪い笑みを浮かべる。

「女...俺と一緒に来い...!!」

「えっ?」

そんな誘いがくると思わなかった名前は身体の力が抜けたのか、剣がスルリと地面に落ちた。カシャン、と小さく剣が地面に当たった音がした。

「なんで、私がっ!!」

「時間がねェ...。」

「えっ、あっあっ...キャアッ!」

フワリと名前の身体が浮く。一瞬の出来事だったので、抵抗することもできなかった。名前が叫んだ次の瞬間にはローの肩に担がれ、逃げられない状態となっていた。

「やめて、離して。」

脚を動かし必死に抵抗する。何度もローの腹部を蹴った。しかし、担ぐその腕の力は緩まない。

「うるせェ。ジタバタするな。バラされたいのか。」

そのローの冷たい視線に、名前は暴れることを辞めた。







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