<守ってくれていたその腕 ※微裏>
(いつものシャンクスじゃない...。)
確かに私はシャンクスを求めたし、誘ったのはお前だと言われるのも無理はない。
このまま大好きな彼に抱かれたい。そんな思いがある反面、やはりどこか怖い。
ベッドのシーツを握る名前の手に自然と力が入ったのか、さらにシーツに皺が寄った。
「怖いのか...?」
「......っ!!」
「子供じゃないんだろう?」
腕が使えない、少し体をあげろと冷たい目でシャンクスは指示をする。しぶしぶと上体をあげた名前の下にシャンクスは枕を挟み込むと、自由になった手で名前の身体を触り始める。
「やっ、だ...シャンクス...。」
「抵抗するな、大人しくしろ。」
はだけそうになったドレスの上から、胸の突起を弄ぶように指を這わす。
「あぁっ...ん...や。」
「何が嫌なんだ?」
胸の先を刺激されて甘い声を上げる名前の耳元でその声は響いた。そしてペロっと首元を舐める。
「ああっ...。」
ドレスの上からとはいえ、揉まれながらの首筋の舌の這わせ具合に、名前はさらに声をあげる。
「も、やめ...て。」
嫌がる名前の訴えも聞かず、シャンクスはその手を太もものほうへと、ゆっくり体に添わせながら移動させた。
(こんなのシャンクスじゃない...。)
やめてと訴えても止めてくれない。私の目も見てくれない。怖い。
「お、願い...っ。ね...もぉっ。」
「シャ...ンクっ..ス!!」
何度訴えても、その手が止まることはなかった。そして秘部に触れようとしたとき「やめて!!!!」と、名前の大きな声が部屋に響く。
「何をやめるんだ?合意の上だろう?」
「ハアハア...っなんか変だよ。」
「何が変なんだ?」
「いつものっ..シャンクスじゃ、な...。」
ツツ――と名前の頬を、一粒の雫がなぞった。綺麗にまとめられていた髪は乱れ、もう少しで脱がされてしまいそうなドレスを名前は胸元で必至に抑えていた。
シャンクスをまっすぐと見つめるその瞳には、今にもこぼれ落ちそうなほど潤んでいた。
「言いたいことはそれだけか?」
シャンクスの腕が後頭部へと回される。いつも守ってくれていたその腕が、今はただ恐怖でしかなかった。身体が強張る。
ああ、これだけ言ってもやめてくれないんだと抵抗すること辞めて目をつぶった瞬間、とても強い力で抱きしめられた。
「すまない。少し、いじめすぎた。」
“悪かった。”そうやって謝る彼の顔は、いつも通りのシャンクスだった。名前の全身に入っていた力がすこしづつ抜けていった。
「どうして...こんな。」
「あまりにも俺の言うことを聞かないからだ。」
「シャンクス...。」
「分かっただろう?男は怖いんだ。」
女は男よりも弱い。力では絶対に敵わない。シャンクスはそう言った。
「世の中には悪い男はいっぱいいる。」
だがな?と名前の乱れた服を元に戻しながら、シャンクスは話を続ける。その手や眼差しはいつもより増してとても優しかった。
「命懸けで守ってくれる男もいるんだ。
その男をお前は大事にしろ。だから気安く俺にキスしたりするんじゃない。」
「シャンクスは守ってくれないの?」
名前の質問にシャンクスの動きが止まった。そして、すっと右手を名前の頬にあて、流れ落ちた涙のあとをなぞった。
「守ってやるさ。ずっと。」
その真剣なまなざしに涙が止まる。
「だったら...っ「お前は」」
「名前は俺の娘だからな。」
(シャンクス?何を言ってるの?)
「確かに俺たちは血は繋がっていない。だが、この10年お前の成長を見てきたんだ。」
ただ俺と過ごす時間が長かっただけだ。好きだと言ってくれるのは嬉しいが、それはきっと恋愛の好きじゃない。親との時間が少ない名前が勘違いするのも無理はないさ。
と、わかりやすい言葉でゆっくりと説明してくれたが、名前には納得がいかなかった。
「そんなの分からないじゃない!私は本当に...シャンクスのことを...すっ!!」
好き。その言葉を言おうとした時、シャンクスが手のひらで口を塞いだ。
「んんーっ!!」
ネプチューン王に対する好きとシャンクスに対する好きは、何かが違うのだ。
「シャ、んクス..っ!!」
本当に好きなんだと訴える。しかし、どれだけ訴えてもシャンクスは向き合おうともしてくれなかった。ただダメなんだ、とだけ言った。
「どうして向き合ってくれないの!?」
「もう今日は遅い。疲れただろう?明日には島に到着するんだ。早く部屋に戻って休め」
「ねぇ、シャンクス!!」
「船長命令だ。」