これから、俺たちは



「ん……?」

 布団とは違う固い感触を背中に感じ、重い瞼をゆっくりと持ち上げれば、真っ暗だった視界が突然白くなり、反射的に目を細める。少しすれば目が段々と慣れてきて、天井と白く光る蛍光灯を認識した。胸より下の方は温かいが、肩や顔がなんとなく寒く感じる。そこから一つの答えを導き出す。

「やっべ……」

 またこたつで寝てしまった。
 また、というのは、最近こういうことが多いからだ。いや、正しくいえば、年が明けてから今日までの約一週間、毎日こたつで寝てしまっている。一応、毎回深夜の2時頃にはふと目覚めて、そこでベッドへと移動するため、朝までこたつに入ったまま寝てしまう、ということはないのだが。 
 俺は時間を確認するため、目の前の壁の上の方に取り付けられた掛け時計を見上げた。
 一時二十五分。

「あー……くっそ…」

 こたつで寝るのはやはりよくない。ずっと同じ姿勢でいるからか腰が痛いし、なにより寒い。
 早くベッドで布団にくるまって寝よう。そう思って、怠い体に活を入れて、こたつから這い出ようとした。
 その時。自分の腕がなにか温かいものとぶつかった。

「……やっぱ帰ってねえ、よな」

 自分の横には規則正しい寝息を立てながら、気持ちよさそうに丸くなって寝る、愛しい、愛しい、恋人の姿。

「伊月」

 その名前を呼んでみる。しかし、伊月は寝るのに快適とは言えない場所なのにも関わらず、熟睡してしまっているようで、なんの反応も示さない。

「いーづーきー」
「んー……」

 頬をつんつんとつつけば、不快そうにその形のいい眉が歪められ、眉間に皺が寄せられる。しかし、まだ起きてはいないようで、すぐに落ち着いた呼吸に戻った。その姿が可愛らしくて仕方がない。思わず頬が緩む。


 と、そんな風に幸せを感じているわけだが。

 俺には一つ、ずっと気になっていることがあった。





 ……何故、伊月は、約一週間の間、ずっと俺の家にいるのだろう。






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