小噺 | ナノ


コールミー



『お久ー』

「おう。模試は終わったのか?」

『うん』

「どうだったよ」

『あ、それ聞いちゃいます?』

「聞いちゃいます」

『はっはー。うちは未来に向かって生きてゆくよ』

「できなかったのか」

『ぎくっ』

「頑張れよ受験生」

『翔ちゃんが人気になるのが悪い』

「俺のせいかよ」

『CD出たら買うし、近場でライブあったら行かなきゃだし』

「別に義務じゃねーだろ」

『じゃあうちが翔ちゃんの活動に見向きもしなくなってもいいんだ』

「それは…」

『うちが翔ちゃんより勉強をとってもいいんだね』

「…やだ」

『にひ』

「で、でも!こっちの大学目指してるんだろ?」

『うん』

「浪人なんかしたら、ますます会う機会減っちゃうだろ」

『…だよね』

「だから、頑張れよ。な?」

『はーい』

「んじゃ、そろそろ切るぜ」

『あ。…うん』

「…そんな声、すんなよ」

『…だって』

「また明日、電話する」

『え、仕事は大丈夫なの?』

「電話する暇くらいあるって」

『そっか。わかった、また明日だね』

「ああ。んじゃ、勉強頑張れよ」

『あいよー』

「…ふう」

「翔ちゃん、楽しそうでしたね」

「そうか?」

「はい。とっても幸せそうでした」

「ああ。…昔からの、大事な奴だよ」






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bkm



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