小噺 | ナノ


浅草



「見てみぃ!あれが浅草のちょーちんやでぇ!」

「ほんまですなぁ!ドデカいなぁ」

「提灯じゃなくて雷門ね。あと俺たち先輩たちとはぐれてるんだから観光とかやめてくんない」

「なんや、あっちが賑やかそうやでぇ」

「うわーっ、めっちゃお店がたくさん並んでますやん!ショッピングやで金太郎はん、コシマエはん!」

「だから俺はエチゼンだって」

「細かいことを気にしょーったらおっきくなれませんでぇ」

「大きなお世話だよ」

「おーい!ここで煎餅みたいなんもろたでえ!」

「うわーっ、金太郎はんだけズルいです!うちにも買うてください!」

「なんで俺を見るの」

「うちらの財布、白石はんに預かってもろてますのん」

「じゃあ、アイツも文無し…!?」

「コシマエー!五百円頼むわー!」

「コシマエはん、うちのもよろしくです!」

「…先輩たちと合流したら、返してもらうから」

「あ、もっと奥に神社もありますやん!」

「ちゃうちゃう、これはお寺さんやで。見てみぃ、書いてあるやろ?」

「ほんまや。まあどっちでもええから、コシマエはん五円ください!」

「はあ?」

「ええ人とご縁がありますよーにゆうてお願いしてくるんです!」

「…それなら、何もしなくたってここに」

「ワイがおるやないか!寂しいこと言わんでやー」

「き、金太郎はん…おおきに!」

「(…ちくしょう)」






[*prev] [next#]

bkm



top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -