小噺 | ナノ


バレンタイン



「なあ。今日は一体何の日だか、覚えてるか?」

「もちろん!聖なるバレンタインデーでしょ?」

「当たり。じゃあさ、」

「ふふ、楽しみにしてたんだぁ」

「ん?」

「錫也の手作りチョコ!哉太から『めちゃくちゃうめえぞ』って聞かされてたから、半年前からわくわくしてたのだよ!」

「あー…」

「ふふふ」

「俺、作ってないよ?」

「…え?」

「いや、だからさ。俺、今年はチョコを作らないことにしたんだ」

「…なんですと」

「だって、世間では普通女子が好きな男子に贈るものなんだろ?」

「別に逆でもいいじゃん!てか外国じゃ逆が主流だし」

「ここは日本だ」

「そーだけど…てか、今まで毎年作ってたらしいのに」

「そりゃ、今年は特別だから」

「ええー…」

「まだ気づかないかなぁ」

「え?」

「俺がこの日を待ってた理由だよ」

「ど…どゆこと」

「日本のバレンタインは、女子が好きな男子に贈るものだ」

「そ、それが?」

「だーかーら、俺はお前のチョコを待ってるの」

「…わ、わたしの?」

「そ。折角のバレンタインだし、彼女から貰わなきゃ意味ないだろ?」

「…錫也がバレンタイン放棄したのかと思った」

「そんなわけないだろ」

「もうちょいロマンチックに渡すつもりだったのに」

「ん、ありがと。大事に食べるよ」

「ハッピーバレンタイン、錫也」







[*prev] [next#]

bkm



top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -