★
ちゅー
「なあ左之さん」
「なんだ、平助?」
「ちゅーしたい」
「お前とは今日限りで友達の縁を切らせてもらうぜ」
「左之さんとなわけないじゃん」
「あいつか?」
「うん」
「つーかお前ら、付き合って一年経つのにまだなのかよ」
「だってそういう雰囲気無かったしさ」
「あいつはその辺無自覚だしな」
「そーなんだよ!『平ちゃんのそばが一番安心する』とか言うしさあ!」
「実は一番危ないってか?」
「我慢…は、できるんだけど」
「ほお」
「付き合ってんのに顔赤くもなんないし、俺って男として見られてないのかなあ…」
「当たって砕けろだぞ、平助」
「砕けたくないし」
「まあ砕けることはないさ、あいつはちゃんとお前が大好きだよ」
「それは知ってるけど」
「…そうかい」
「でもなあ…いきなりは駄目だよなあ…」
「まあ、少々強引なくらいがあいつにゃ丁度いいだろ」
「強引とか…」
「女は押しに弱かったりするからな」
「そうなの?よ、よし。じゃあ俺、頑張ってみるよ!」
「おう」
◇
「よう平助、ファーストキスは何味だった?」
「…血の味」
「は?」
「勢いよすぎて歯で口切った…痛すぎて感触とか覚えてねえ…」
「…ジュース奢ってやるよ」
「ぐすん」
[*prev] [next#]
bkm
▲top