小噺 | ナノ


ちゅー



「なあ左之さん」

「なんだ、平助?」

「ちゅーしたい」

「お前とは今日限りで友達の縁を切らせてもらうぜ」

「左之さんとなわけないじゃん」

「あいつか?」

「うん」

「つーかお前ら、付き合って一年経つのにまだなのかよ」

「だってそういう雰囲気無かったしさ」

「あいつはその辺無自覚だしな」

「そーなんだよ!『平ちゃんのそばが一番安心する』とか言うしさあ!」

「実は一番危ないってか?」

「我慢…は、できるんだけど」

「ほお」

「付き合ってんのに顔赤くもなんないし、俺って男として見られてないのかなあ…」

「当たって砕けろだぞ、平助」

「砕けたくないし」

「まあ砕けることはないさ、あいつはちゃんとお前が大好きだよ」

「それは知ってるけど」

「…そうかい」

「でもなあ…いきなりは駄目だよなあ…」

「まあ、少々強引なくらいがあいつにゃ丁度いいだろ」

「強引とか…」

「女は押しに弱かったりするからな」

「そうなの?よ、よし。じゃあ俺、頑張ってみるよ!」

「おう」





「よう平助、ファーストキスは何味だった?」

「…血の味」

「は?」

「勢いよすぎて歯で口切った…痛すぎて感触とか覚えてねえ…」

「…ジュース奢ってやるよ」

「ぐすん」






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