小噺 | ナノ


倫理



「神は死んだ!」

「いきなりニーチェかい、やるやないか。ならお返しに…ヒュレーはエイドスを目的とする!」

「アリストテレスか…さすがは白石やな。ほならこれはどないや!信仰義認説!」

「甘いで、ルターやろ。聖書中心主義やねんな」

「ふふ、やはり白石を倒さないと、ええ加減頂点へ行かれへんわ!」

「おい、それ侑士の言葉やろ」

「何も分からんヘタレは黙っとれ。まだまだ行くでぇ、功利主義!」

「ベンサムとミルやな。ベンサムは『最大多数の最大幸福』の量的快楽やけど、ミルは『満足な豚より不満足な人間がええ』ちゅーて質的快楽を求めとる…エクスタシーやなぁ」

「エクスタは置いといて、せやな、的確や」

「俺にはさっぱり分からんちゅー話や」

「ほな俺の番やな。ヘーゲルのカント批判!」

「何や内容が深なってきたな」

「答えられんか?」

「まさか。一つ、善意志は外から見えへん、分からへん。二つ、自律――自分で自分を律して得る自由は、万天変化する世界に対応できへん」

「おん、合っとる」

「何なんやこいつら」

「ほな謙也にも分かる問題出したるわ」

「分かるんかなぁ」

「スピードスターの名のごとく、秒殺問題や」

「おし、言うてみぃ」

「マルクスがエンゲルスと共に1848年に発表した著書は?」

「………………は?」

「秒殺言うたやろ。『共産党宣言』や」

「それ、世界史混ざっとるやん。謙也には無理やろ」

「んー、まあ、せやな。謙也はアホやもんな」

「俺泣いてもええよな!?」






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