小噺 | ナノ


スピード



「なあ神尾」

「何スか」

「お前と俺はスピード狂っちゅー点では似とるけど、せやからて同じにして欲しくは無いっちゅー話や」

「いや、ホントに何スか」

「スマンスマン、結論まで急いでしもた」

「はあ…」

「つまりやな、その口癖があかんねん」

「口癖?」

「せや。お前走るときいっつも叫ぶやろ」

「リズムに乗ってるだけっスよ」

「それや!」

「は」

「『リズムに乗るぜ!』ちゅーて、聞いとるこっちが恥ずいねん」

「い、いやいや、これは口癖とかじゃなくて」

「更にや。『リズムを変えるぜ』『リズムにhigh!』――正直、関西でもウケへんで」

「ウケ狙ってるわけじゃないですから!ていうかケンヤさんこそ恥ずかしいですよ」

「何がや?」

「何ですか『浪速のスピードスター』って。言っててダサいとか思わないんですか」

「スピードスターはスピードスターや」

「訳分かりません」

「ふー…あかんわ神尾。やっぱりお前は俺に追いつけんっちゅー話や」

「リズムに乗れば負けねえ!」

「さよか。ほなさいなら」

「あ、パワーアンクル」

「浪速のスピードスターがいるっちゅー話やでえ!」

「…悔しいけど、やっぱりリズムが誰より速いぜケンヤさん…」

「何やねん自分らキモいわ。スピードフリークめが」






[*prev] [next#]

bkm



top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -