うたぷり短編 | ナノ


真っ赤な二人の青い春



「真っ赤な頭のー ギタリストさんはぁー いつーもみんなぁのー わぁらぁいぃもぉのー」

「ちょっと待って、名前」

「でもーその年のー オーディションの日ー 学園長シャイニーはぁー 言いましたー」

「名前、名前ったら」

「『HEY Mr.イットキー!ユーのその頭はカラフルな友人の中だとそんなに目立ちませんネー』」

「ぐさっ」

「真っ赤な頭のー ギタリストさんはぁー これは地毛だとぉー 訴えましたー」

「酷いよ名前…」

「以上、替え歌でした。拍手ー」

ぱちぱちと自分で拍手する名前をぽかりと軽く小突いてから、俺は苦笑してベンチの隣に座った。

「いつ考えたのさ、そんなの」

「痛い…ついさっきだよ。いや、何かあのメロディーが頭の中ぐるぐるしてて」

頭頂部をさすりながら言う名前。全く悪びれることがない。まあ確かに、そんなに気にしないんだけど。
むしろ、俺のいないところでも俺のこと考えてくれてたことが嬉しいというか、なんというか。
ベタ惚れだ、と自分にため息。

「真っ赤なお鼻のーって歌い出そうと思ったんだけど赤っていったら音やんかなーと思ってさ」

「ふーん」

「ふーんて。つれなくないですか音也さん。で、誰の台詞を入れるかで悩んでたら、翔ちゃんがやってきて」

「…ん?」

軽く聞いてたら、聞き捨てならない名前が聞こえた。

「だから、翔ちゃんがやってきたの。なっちゃんから逃げてたから匿ってあげたらお礼するぜ!って言うから、一緒に続き考えてもらってたんだー」

「うわー」

それはかなりむかむかくる。胸の奥で黒い感情が噴出した。二人きりで何やってんの。そんなの、例えこういうくだらないことでも、嫌だ。すごく嫌なんだ。
翔は俗に言う恋敵と書いてライバルと読むアレなのだ。なまじ俺が名前のパートナーになったために向こうも積極的に彼女に話しかけてくる。こっちもむかつくけど、あっちもむかついているだろう。

「名前ー」

「わ。何音也、どうしたの」

いつも那月がやっているみたいに、冗談に見せかけてがばと抱きついた。その実、現れているのは単なる独占欲。
子供じみた行動に、笑いながら名前は応じてくれた。

「赤ちゃんみたいだね。赤いし」

「そこは関係ないでしょー」

「ほらよちよーち、ママでちゅよー」

「…俺はどっちかというと、パパになりたいな」

「…え」

あやすように背中を叩いていた手が止まる。俺は体を離して名前の顔を見た。

「真っ赤なのは、名前だね」

「お、音也が変なこと言うからでしょー!」

まったくもう、とむくれてみせた名前の頬は赤くって、めちゃくちゃ可愛かった。

翔、見てる?
彼女は絶対、渡さないよ。



真っ赤な二人の青い春



――――――――――

アンケより、「嫉妬音也」「音也で嫉妬」「子供っぽいヤキモチ」でした!
大分前から書き込まれていたのですがシチュを思いつかず、遅くなってしまいました。
こんなんで…いいのかな…?

アンケリクは音也とトキヤが大人気。もっと翔ちゃん増やしたっていいのよ!

アンケリク、ありがとうございました!

2011.09.19






bkm



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