うたプリ長編 | ナノ


02



「お前ら、パートナー決まったか?」

入学して五日が経過した。なんとなく学園の雰囲気にも慣れてきて、友達もできた。まず、ここで一緒に食事を囲んでいる二人。
長い髪をかきあげたのはレンだ。見た目通りよくモテる奴で、俺たちとじゃなく女子と飯を食うことだってよくあることだ。色気はいらんが身長はくれ。

「レディたちがこぞって俺を望むから、なかなか選べなくてね…イッチーは?」
「私もまだです。大人しくくじ引きに任せようと思っていますよ」

無表情にそう言ったのは、HAYATO似のトキヤだ。なんでも、双子なんだとか。俺と同じだなと言ったらちょっと複雑そうな顔をされた。失礼な奴だ。

「そういう翔はどうなんですか?」
「俺様のセンスにビビっとくるヤツがいなくてなー」

三人そろって、溜息をついた。
全くタイプの違う俺たちだが、仲良くなったのは、

「おーい!ごめん、授業が長引いちゃってさ」

こっちに向かって歩いてくる男三人が主な理由だ。音也、聖川、那月の三人はAクラスで、それぞれ俺たち三人のルームメイトだ。
三人に少し遅れて、これまた対照的な女子二人がやってくる。七海と渋谷もAクラスで、ルームメイト同士だ。

この中では七海だけが作曲家志望で、後は全員がアイドルコース。だからみんな見目がよい。俺もかなりオシャレに気を使っている。七海のパートナーは誰かといえばすでに決まっていて、隣で談笑している渋谷だ。今じゃ会って一週間とは思えないほどの仲の良さ。パートナーも、先生に言われたその瞬間にアイコンタクトをして決めたらしい。女子ってすげえ。
そして、残る男子連中にはパートナーがいないというわけだ。

「なんだ、もう食べてしまったのか」
「ああ…話していて気付きませんでした」

聖川の指摘で皿を見ると。きれいに完食されていた。

「ホントだ。なんかあんまり食った気がしねえな」
「じゃあ翔ちゃん、僕が作ったクッキーさんをどうぞ〜」

那月が満面の笑みでバスケットを持ち上げる。とたんに脳裏をよぎったあのひどい味。一度食べたら嫌でも忘れられない。悪い意味で。
俺は素早く立ち上がった。那月から逃げるように反対側へ動きつつ、その場から遠ざかる。
俺はまだ死にたくないのだ。

「い、いやっ、俺様は、え、遠慮しとくぜっ!あーなんか今すぐ散歩に行きたい気分だなーつーことで行ってきます!」

早口でまくしたてると、「待ってくださいよ〜」という那月の声を聞くか聞かないか、脱兎のごとく一目散に食堂から逃げ出した。





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bkm









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