短編にしようと思ったもの

 正午前。『シリウス』はある物を囲んで座っていた。

「……その、えっと……話を聞いてくるべきだと思うな……?」

「僕は飲んでみるのが手だと思うよ!」

「すぐさま捨てるべき」

「聞いてから捨てるに1票」

 各々が自分の意見を言う。全く意見が合わない。
 それぞれの意見を聞いてから、スウィートは困ったように眉を下げた。

「……どうしよっか。セフィンさんから送られたジュース」

 そう、4匹が囲んでいるある物とは、ジュースのことだった。
 オレンジ色の美味しそうな色をしているジュースは、高そうな瓶の中に入っている。それは、スウィートが言ったとおりセフィンから送られてきたのだった。
 するとシアオが1枚の紙切れを見た。

「『シリウス』様。知り合いから貰いました。美味しかったので是非とも飲んでみてください。……ほら、セフィンだって飲んでるって書いてるじゃん!」

「それが信用ならないからどうするか考えてんでしょ。ていうか敬語な時点で怖いわよ」

 あくまでもジュースを飲みたいためか、シアオが言葉に勢いをつけて言う。しかしフォルテに吐き捨てるように言われ、黙る他なかった。
 アルは紙とジュースが入った瓶を見てから、ため息をついた。

「……嫌な予感しかしない。絶対ふつうのジュースじゃないだろ、これ。飲んだってのは嘘じゃないかもしれないが……副作用がないとは書いてない」

「た、確かに……」

 過去の事件があったからか、アルは妙に慎重だ。スウィートもそうらしく、異論は唱えない。
 だがずっと置いておくわけにはいかない。そのため話し合っていたのだが、意見が割れてしまってはどうしようもない。

「……見た目は、美味しそうなジュースなんだよね」

「美味しそうだよね」

「セフィンから貰った物だから不味そうに見えるのよ」

「不味そうっていうか、普通のジュースに見えないんだよな。セフィンからだから」

「それはセフィンさんに失礼かな……」

「「どこが?」」

「……まあセフィンだもんねー」

「…………。」

 セフィン≠ゥら、でなかったら、こんなにややこしいことにならないというのに。
 うーんとスウィートが頭をひねる。解決案が全く見当たらない。
 するとフォルテがおもむろに瓶を取った。じーっとジュースを見てから、にやりと笑みを浮かべてシアオを見た。

「乗り気なシアオだけに飲ませて、それで実証すればいいじゃない!!」

「そっか!!」

「シアオ!? ダメだって、毒見されようとしてるんだよ!?」

 滅茶苦茶なことを言い出すフォルテと、全く気付かないシアオ。それでいいのかとスウィートが聞くが、シアオは「飲むのむー!」と完全に乗り気だ。
 救いを求めてアルを見ると、「あー」と声をあげた。

「……ま、乗り気ならいいんじゃないか?」

「えぇぇ……」

 スウィートが落胆の声をあげる。
 しかしアルは「ほら見ろ」と言わんばかりに顎で示す。それに釣られるように視線を移すと、シアオがジュースをコップに注いでいた。
 ダメだこれは。何をやっても飲む気だ。
 そう理解したスウィートはもう何も言わなかった。

「匂いは……美味しそうな匂いしかしないけど」

 シアオがコップに入った液体の匂いを嗅いで報告する。
 そのときに顔をあげると、先ほどまで近くにいたはずの仲間がいなかった。見ると、2メートルくらい離れた場所でこちらを見ている。

「が、頑張ってね……!」

「さよなら、シアオ。後世で会わないことを願ってるわ」

「じゃあな。ご愁傷様」

「何で僕が死ぬみたいなことになってんの!? ジュース飲むだけなんだけど!」

 オーバーな自身の仲間に対して声を荒らげるが、あくまでも距離を縮める気はないようだ。スウィートは何でか涙目だし、フォルテは諦めきった顔をしているし、アルにいたっては手を合わせている。
 とりあえずジュースを飲めばいいんだ。そう思い、シアオは一気にジュースを飲んだ。瞬間、

「きゃっ!?」

「やっぱ下手物だった……!?」

「……飲まなくて正解だったな」

 ボフンッと音をたててシアオが煙に包まれた。
 スウィートは驚きの声をあげる。フォルテは顔を真っ青にし、アルはほっと息をついた。シアオの心配は皆無らしい。
 そして煙がはれてきて、シアオがいた場所には

「……あれ?」

「ん?」

「これは……」

 きょとんとする者、首を傾げるもの、頬をひきつらせる者。反応は様々だった。
 3匹の視線の先には

「…………?」

 シアオより一回り小さいリオル。ゆっくりと首をかしげて、不思議そうに3匹を見ている。
 首を傾げるとき、ずるりとリオルの体から何かが落ちた。ソレは、シアオが身につけていたもので、だらしなくリオルの体にかかっている。
 するとリオルは3匹の方を向いて、にっこり笑った。


「こんにちは――おばさん達!」


 すぐさまフォルテに地面に沈められたが。



ここで力尽きた。オチがどうしても見つからなかったのでボツ。



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