謎の眩暈と声

 初依頼が終わってから次の朝。
 ラドンが大声で起こしにきた。
 スウィートとアルは起きていたので耳を塞げたが、フォルテはやはり朝は機嫌が悪く、またまた火炎放射を放った。
 その時シアオは寝ぼけていたので、ラドンをダンジョンに出てくる敵ポケモンと間違って、はどうだんを容赦なく喰らわせたのだ。

 それからラドンが起こしに来る事はなかった。

 そのため次の日、シアオとフォルテは朝礼に遅刻して、ディラに何十分ものお説教をくらったのだ。
 シアオとフォルテは次からなんとか早起きする事を決めた。
 
 それから数日後――

「今日はお前達にはお尋ね者を捕まえてもらう♪」

 いつもと違う、右の掲示板につれてこられた『シリウス』メンバー。
 右の掲示板には沢山のポケモンの絵が貼ってあった。そこでディラに先ほどの言葉を言われたのだ。

 スウィートは「お尋ね者」という単語に首を傾げていた。
 するとシアオが体を震わせてから

「お……お尋ね者ぉぉぉぉぉお!? 無理! 絶対無理だから! 不可能!!」

 いきなり大きな声をだして叫んだ。内容はとてもネガティブなものだ。シアオらしいと言えばシアオらしいが。
 そんな発言に全員が黙っている者は訳はなく

「いきなり諦めてんじゃないわよ! だからあんたはいつになっても成長しないの!! 分かる!?」

 フォルテがシアオに向かって大声で怒鳴った。それはもうギルド内に大きく響くくらいに。
 ギルドではもう聞きなれたようなので振り向く者などいないが。

「お尋ね者といっても、まだ弱いコソドロとかを捕まえてもらうだけだから安心しろ♪」

「安心!? 何が安心な――」

「あんたはちょっと黙ってなさい!!」

 ディラの言葉にいちいち反応するシアオを、フォルテは尻尾で殴って黙らせた。その為シアオは気絶したが。
 ディラもこの光景に慣れたようで、シアオに構わず話を続ける。

「まぁ一応準備はしといたほうがいいな……。レニウム!! いるか!?」

「は、はい!! なんでゲスか!?」

 ディラが大声で呼ぶと、梯子からレニウムが上ってきた。

「こいつらにトレジャータウンを案内してやれ♪」

「わ、分かりました!」

 とレニウムが言うとディラは梯子を降りていった。
 スウィートはまたもや聞きなれない単語に首を傾げている。
 レニウムを見ると体が微かに揺れていた。変だな、と思いアルが声をかける。

「……あの……レニウム先輩?」

「うっ……すみませんゲス……。つい嬉しくて……ぐすっ……」

 と言いながら何故か泣いているレニウム。
 訳が分からずスウィート達はまたまた首を傾げる。

「実は……後輩が出来たのが……初めてで……グスッ……。だから嬉しいんゲス……」

 つまりスウィート達が来る前はレニウムが一番下だったというわけだ。それだ初めて後輩が出来たので泣いている……という感じ。
 スウィート達は成る程、と納得する。アルは少し考えてから

「えぇと……じゃあ案内頼みます。レニウム先輩」

「了解ゲス! と言いたいとこなんでゲスが……その前に…シアオの意識がないような気が……」

 あっ、と声をだし、『シリウス』メンバー3匹がシアオの方を見る。見事にまだ気を失っていた。
 スウィートはとりあえず揺すって起してみる。が、無意味。

「仕方ないわねー……置いてく?」

「しゃーねーな……。俺とシアオは残ってるからフォルテとスウィートは行ってきてくれ……」

 フォルテがそういうとアルがため混じりに言った、が

「はっ!? あれ、僕なんで気を失って……?」

「今更起きないでくれるかしら!?」

「ちょっ! 待てフォルテ! また気絶させる気か!!」

 シアオが飛び起きた。
 それにキレたフォルテが殴りかかろうとしたが、アルが羽交い絞めにしてとめた。
 シアオは驚いた表情をし、スウィートとレニウムは苦笑いをしていた。










――――トレジャータウン――――

「此処が……トレジャータウン……」

 スウィートは初めて来た場所なので目を輝かせながらトレジャータウンを見る。
 沢山のポケモンがいて建物が建っている。
 凄いなぁ、と感心しながらスウィートはトレジャータウンを見渡す。

「あ、でもトレジャータウンの事なら僕らも分かるよ。何回もきたから」

 シアオが得意げに話す。そして指を指して説明し始めた。

「えーっとね。まずここはヨマワル銀行。ポケを預けられるんだ。
 あそこはエレキブルのれんけつ店。技をれんけつ出来るよ。今はエレキブルはいないみたいだけど……。
 あそこはカクレオン商店。道具を買ったりできるよ。
 で、その奥にあるのが、ガルーラの倉庫。道具を預けることができるから、大事なものは預けてたほうがいいよ」

 とシアオが説明を簡単にしてくれた。
 スウィートにとって多少何か分からない単語もあったが、そこについてはスウィートはあえて聞いたりしなかった。

「よく知ってるゲスね。あっしがいなくても大丈夫そうでゲスね。じゃああっしは依頼選ぶのを手伝うゲスよ」

「え!? ホント!? ありがとう!」

「じゃあ、あっしは先にギルドに戻ってるゲスから。準備が出来たら出来たらあっしに声をかけるゲスよ」

 シアオは満面の笑顔でレニウムにお礼を言った。
 レニウムは少し照れたような感じでギルドに戻っていった。

「じゃあ……カクレオン商店から行くか」

 とアルが言い、シアオとフォルテもついていく。
 辺りを見回していたスウィートは気付き、追いかけようと振り返った。その時、ドンッと、誰かとぶつかった。

「きゃ……!?」

「わっ……!」

 ぶつかった反動で、スウィートは尻餅をついた。
 「イタタ……」と言って打った場所をさすっていると

「ごめんなさい! 大丈夫!?」

 話しかけてきたのはエーフィ。恐らくスウィートとぶつかったポケモンだろう。
 心配そうにスウィートを見て謝っていた。

「こ、こちらこそ……すみません……」

 スウィートは急いで立ち上がりエーフィに謝る。
 どこかに隠れたいが隠れる場所がなくスウィートは俯いてしまう。

「ごめんなさいね。怪我とかない?」

「だ、大丈夫です……」

 「気遣ってくれているのに俯いているのも悪いなぁ……」と思い、勇気を出して若干俯いているが顔を少し上げる。
 エーフィは優しい笑みで微笑んだ。

「私はフィネスト・イレクレス。フィーネと呼んで。貴女は?」

「えっと……スウィート・レクリダです……」

「え……? スウィート……レクリダ……」

 フィーネはスウィートの名前を聞いた途端、何か考えているような顔をした。
 スウィートは何も喋らなくなったフィーネに首を傾げながら声をかける。

「あの……フィーネ……さん?」

「えっ。あ、ごめんなさい。つい考え事を……。かわいい名前ね。宜しく、スウィートちゃん♪」

「あ……はい。宜しくお願いします……!」

 フィーネは笑顔に戻り、ニッコリと微笑んでくれた。スウィートはつられて笑顔になる。
 フィーネはスウィートの持っているバッチに目をむけた。

「そのバッチ……探検隊なんだ。スゴーイ! 最近なったの?」

「はい。つい最近なったばかりです。チーム名は『シリウス』っていいます」

 フィーネは関心したようにスウィートを見た。スウィートは笑顔が似合うポケモンだなぁ、とフィーネと話していて思った。
 何故だか、普通に話せるようになっている自分が不思議になったスウィートだが、おそらく纏っている落ち着いた空気が人見知りをなくさせてくれているのだろう。
 
 するとフィーネを呼んでいる声が聞こえてきた。

「あっ、連れが呼んでる! ごめんね! また今度! じゃあね♪」

「はい! また」

 フィーネはブラッキーの方に走っていった。「カップルかな?」などと思いつつも、早速トレジャータウンで知り合いが出来たことを喜ぶスウィートだった。
 そして、大事な事を思い出す。

「あっ! あれっ? 皆は……」

「此処にいるよ〜。スウィートなかなか来ないんだもん。心配したよ?」

「ふわぁ!?」

 探そうとするといきなりシアオが現れて、スウィートは本当に小さな悲鳴をあげた。
 シアオの後ろにはアルとフォルテもいた。
 「迷惑かけたなぁ」と思いながらアル達が歩き出したので、今度は置いていかれないようについていく。

「こんにちは。イオラさん、シルラさん」

 アルがカクレオンに挨拶する。口調からして知り合いのようだ。

「おぉ! 3匹とも! あれ、1匹増えたねぇ。今は仲良し4匹組かい?」

「いつから俺らがそんな組作ったんですか」

 アルが緑色のカクレオン、イオラにツッコミをいれる。イオラは軽く笑った。
 因みにスウィートはシアオの後ろに隠れ中。

「スウィート……挨拶ぐらいして……」

 とフォルテが呆れたように言う。
 スウィートがシアオの後ろから出てきて挨拶することは無理だったが、小さな声で挨拶はできた。聞こえているかどうかは別だが。
 紫色のカクレオン方はシルラというらしい。イオラとシルラは双子でイオラが兄のようだ。
 イオラはスウィート達がつけている探検隊バッチに気付く。

「それ探検隊バッチだよね? 探検隊になったんだね! おめでとう!」

「よかったね! 憧れの探検隊になって!」

「ありがとう! イオラさん、シルラさん!」

 シアオは満面の笑みでお礼を言った。イオラもシルラも嬉しそうだ。
 そしてイオラが思い出したようにアルのほうを向く。 

「で、今日は何を買いにきたんだい?」

「えっと……オレンの実と…………念のために集まれ玉で」

「ちょ! もう大丈夫だってば! ねぇ聞いてる!?」

 アルが頼むとシアオの言う事は無視して、イオラがオレンの実と集まれ玉を持ってきた。
 200ポケピッタリで昨日の依頼も報酬は全て使い切った。

 シアオはふてくされた顔をしたが、次またシアオがトラブルを起すかもしれないので、スウィートとフォルテは買うことを反対はせず、むしろ賛成していた。
 そして少し談笑していると――

「「すみませーん!!」」

 と元気な声とともに、お店にマリルとルリリが走ってやってきた。
 まだ幼い子どものようだ。

「アイオ君、サフィアちゃん! リンゴかい?」

「はい! 1つください!」

 イオラはアイオとよばれたマリルに袋を渡す。
 アイオがポケを手渡すと2匹とも笑顔で元気よく、そして丁寧にお辞儀をして

「「ありがとうございます! では!」」

 そういって去ってしまった。スウィートが「えらいなぁ」と関心していると

「あの2匹、お母さんの体が悪いから、代わりに自分達でリンゴを買いに来るんだよ」

「へぇ……大変なのね……」

 イオラがそう話すと、フォルテが少しだけ顔を歪めた。
 確かに大変だな、などと皆が思っていると

「すみませーん!!」

 と先ほどの兄妹が戻ってきた。
 スウィート達が首を傾げていると、アイオは袋からリンゴを取り出した。

「リンゴが1つ多いんです!」

「私達こんなに買ってません!」

 会話の内容からすると、この2匹はリンゴが1つ多いのに気付き、わざわざお店に返しに来たのだ。
 その2匹に4匹はさらに関心した。

「それは私からのおまけ。2匹で仲良く食べるんだよ」

「本当!? ありがとう、イオラさん!」

 ルリリのサフィアが嬉しそうにお礼を言う。とても可愛らしかった。

「ありがとうございます! サフィア、いくよ」

「あ、うん!!」

 アイオが進んだので、サフィアも続いこうする、が

「きゃっ!?」

 石につまずいて転んでしまった。その拍子にサフィアが持っていたリンゴがスウィートの足元にコロコロ…と転がってきた。
 スウィートは足元のリンゴを拾って、転んでしまったサフィアの方に近づいた。

「大丈夫……? 気をつけてね」

 多少声は弱弱しかったが、スウィートはサフィアに声をかけリンゴを手渡す。
 サフィアはニッコリと笑顔を向けて

「ありがとうございます! それでは」

 と言ってアイオを追いかけていった。可愛かったなぁ、とスウィートが心の中で思っていると

「うっ……!?」

 突然、強い眩暈がスウィートを襲った。
 スウィートは倒れまいと何とか踏ん張るが、それが精一杯だった。

「偉いわね〜、関心しちゃうわ」

「ホントだよね。礼儀もすっごい正しかったし……」

「どっかの誰かさんとは大違いだな」

 シアオ達の会話が耳に入らない。
 するとトレジャータウンと景色が見えなくなり、視界が真っ黒になってきて、音も聞こえなくなってきた。その時だった。





<た……助けて!!>

(えっ……!?)



「ート……スウィート? どうかしたか?」

 目を開くと心配そうにアルがスウィートを見ていた。
 スウィートは目を見開いた。
 何故なら辺りは先ほどと同じように賑わっており、さっきの悲鳴が聞こえた場所だとは思えないものだったから。

(あんまり眩暈が強かったから……気のせい、かな……)

「大丈夫、なんでもないよ」

 スウィートは笑ってみせる。するとアルは心配そうな顔をするのをやめた。

「じゃ、もう行きましょ」

 フォルテの声とともに、イオラとシルラに一声かけてから、スウィート達も歩き出す。
 するとアイオとサフィアと、鼻が長く黄色の体をしたスリープが一緒にいた。シアオは声をかけてみる事にした。

「どうかしたの?」

「あっ……先程の……。えっと……」

 アイオは名前が分からず言葉に詰まってしまう。
 シアオは何故言葉を止めるか分からず首を傾げた。いつまでたってもシアオは名乗りそうにないのでアルが助け舟をだした。

「俺はアルナイルだ」

「あたしはフォルテ。貴方達はアイオとサフィアよね」

「ス、スウィートです……」

「あっ……僕はシアオだよ! で……何してたの?」

 今頃シアオも気がついたようだ。全員が自分の名前を言った。

「実は僕ら……落し物を探していて……。そしたらこちらのウェーズさんが……」

「落し物を見かけたって! それで一緒に探してくれるの!」

 と嬉しそうな顔をしながら説明してくれた。
 フォルテはチラリとスリープのウェーズを見て

(うーん……見た目凄く怪しいんだけど…。やっぱ見た目だけで判断しちゃいけないのかしら……)

 などと考えていた。ウェーズは微笑んで

「君達みたいな幼い子が困っているのに、放っておけないですよ」

 と言った。その時スウィートは、薄々フォルテと同じようなことを考えていた。

「では僕らはこれで……」

「うん、バイバイ!!」

 シアオは笑顔で手を左右に振った。そしてアイオ達が行こうとしたとき、ウェーズとスウィートがぶつかった。

「おっと……これは失礼」

「い、いえっ。こちらもすみませんでした!」

 スウィートは深々と頭をさげて謝った。
 ウェーズはそのままアイオ達の方向へと歩いていった。
 今日はよくポケモンとぶつかる日だなぁ…などと考えていると

「っ!? ま……またっ……!?」

 あの強い眩暈が襲ってきた。またスウィートの視界が真っ暗になっていく。





 今度は映像も見えた。
 場所は山の頂上みたいで、サフィアとウェーズしかいなく、アイオがいない。サフィアは怯えて体を震わせ、涙を零している。ウ
 ェーズは先程の優しそうに微笑んでいた同一人物とは思えないくらい、悪い笑みを浮かべていた。

<言うことを聞かなければ痛い目にあわせるぞ!!>

<た……助けて!!>





「……っ! サフィアちゃんが……!」

「ス……スウィート?」

 黙り込んでいたスウィートがいきなり声をあげたので、シアオ達は驚いた表情をしてスウィートを見る。
 だがスウィートはそんな事どうでもいい状況だった。

「サフィアちゃんが危ない…。助けにいかないと…!!」

「スウィート…? 本当に大丈夫?」

 シアオが心配そうにスウィートを見る。
 スウィートはシアオを気にせず、先程の映像の事を3匹に話した。すると3匹は驚愕の表情をしたが

「でも……ウェーズさん……悪いポケモンには見えなかったよ?」

「そりゃ……まぁ、見た目的には怪しかったけど……」

「疲れてるんじゃないのか? だから見えた……とか」

 シアオ、フォルテ、アルの順にそれぞれの意見を述べられた。
 確かに悪そうなポケモンには見えなった(見た目で疑ったが)。それに最近は探検隊の依頼などで疲れているかもしれない。
 けれど、スウィートにとって気のせいには感じなかった。

(……違う……のかな。でも……)

「レニウム待たせてるし行きましょ! ね!」

 フォルテはスウィートの体をグイッと押した。
 スウィートは押されるがままにギルドの方にモヤモヤした気持ちで向かうのだった。










―――ギルド―――

「あっ! 準備できたゲスか?」

「うん! じゃあ選ぼ――」

「掲示板を更新します! 危ないので下がってください!!」

 シアオの言葉の途中でサイレン音がなり、声が聞こえる。
 4匹とも聞き覚えのある声だった。それとともに、バンッという音をたてて、掲示板がひっくり返った。

「きゃ!?」
「ふぇ!?」
「な、何!?」
「うわっ!?」

 掲示板がひっくり返ったとともに、スウィート、シアオ、フォルテ、アルの順番で小さな悲鳴をあげた。
 レニウムは平然としている。

「あ、あの……これは……」

 たじたじになりながらも、スウィートがレニウムに尋ねる。

「えっとゲスね……。掲示板の情報を更新してるんゲス。
 壁がひっくり返ってる間にフィタンが情報を書き換えるんゲスよ。普通に見たら地味かもしれないゲスが、フィタンはこの仕事に誇りを持っているし、とても重要な作業なんゲス」

 とレニウムが詳しく説明してくれた。説明が終わったと同時に

「更新終了! 危ないのでさがっていて下さい!」


 またバンッという音をたてて、掲示板がひっくり返った。
 今度は4匹とも驚かなかった。というより仕組みに関心していた。

「じゃあ選ぶゲスよ」

「つ、強そうなのはやめてね……!?」

 分かってるゲス、といってお尋ね者を選ぼうとするレニウム。フォルテはあまりの根性のなさにシアオを睨んでいた。
 レニウムが選んでいる間にスウィートはお尋ね者ポスターを見た。
 すると、信じられないものを見てしまった。

「う……嘘……」

「スウィート、どうした?」

「い、1番……左端……!!」

 スウィートの言うとおり、掲示板の1番左端を見る。
 そこには先程会ったポケモンの似顔絵と名前が書かれていた。

《お尋ね者――ウェーズ・テビィグ》

「なっ……!? あいつ……お尋ね者だったのか!?」

「急がなきゃ……! アイオ君とサフィアちゃんが……!!」

 そういうとスウィートは1番にすごい速さで駆け出していった。
 アルがその後に続き、後からフォルテとシアオが駆け出していく。

「ど、何処に行くんゲスかぁ!?」

「ごめん、レニウム! ちょっと緊急事態!!」

 レニウムに答えになっていない返事をしてシアオは梯子を上った。










―――交差点―――

 ギルドの階段を下りてすぐ、アイオがオロオロとしながらあたりを見渡していた。
 やはりサフィアとウェーズはいない。

「アイオ君っ……! サフィアちゃんは……、サフィアちゃんとウェーズさんは!?」

 走ってきたため少しだけ息が切れているスウィート。シアオ達もすぐに追いつく。
 アイオはすぐにスウィートに気付き、状況を説明してくれた。

「あっ……スウィートさん! じ、実は僕が目を離した隙に2匹とも居なくて……!」

「何処に行ったか分かるか!?」

「は、はい!! こっちです!」

 アルがそういうとアイオはすぐに駆け出した。4匹は後を追う。

(サフィアちゃん……! 無事でいて!!)

 スウィートはそう願いながらアイオについていくのだった。




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