愛されたがりの天使


これは幸弘と付き合うようになった少し前の話。
いつものように声かけてくれたお兄さんとラブホテルに入って、ベッドになだれ込んで偽りのその場限りの愛を育むハズだった。



「俺の愛撫じゃ気持ちよくない?」
「……え?」
「だってほら、勃ってない」



そう言われて自分のを見ると、項垂れていて全く反応していなかった。



「なん、で……?」



自然と口から言葉が出た。
誰とやってもちゃんと勃つのに、なんで勃たないの?



「いつもはちゃんと勃つ?」
「うん、勃ってる」



そう言うとお兄さんは「じゃあ今日は疲れてるだけなのかもね」なんて言ってから四つん這いになるように指示してきた。
だからそれに従って四つん這いになると、お兄さんの硬く反り勃ったモノが当てがわれた。



「君はただ脚を閉じてて? 素股だけにしよう」
「お兄さん、は……それで、いいの?」
「君は自分の心配だけしてな。ほら、しっかり脚閉じて」
「うん」



お兄さんに言われた通りに脚を閉じると、お兄さんが腰を動かして律動を始めた。
何度も何度も腰を打ちつけられて、内腿をお兄さんのが何度も行き来する。
気持ちいいのか気持ちよくないのかよくわからない。

でも、きゅっと脚を閉じたまま振り返るとお兄さんは気持ちよさそうに顔を歪めていた。
気持ちいいんだ……そう思った俺はできる限りもっと気持ちよくなってもらえるように工夫した。



「今日はありがとね。お金ここに置いておくよ」
「うん」



お兄さんがイくと、そのままさっさとシャワーを浴びてお兄さんがお金を置いて出て行った。
お金要らないって言ったのに、相手してもらったからって五万円も財布から抜いておいて行ったんだ。

俺は残り時間を確認したらそれに間に合うようにシャワー浴びて身支度を整えたらホテルを出た。
簡単な着替えが詰めてあるスポーツバッグを肩から提げて今日泊めてくれそうな人を電話帳から探す。



「……やっぱり、勃たないと誰も泊めてくれないかな」



いつもそんな気分じゃなくても結局抱かれるから、だから勃たないと誰も相手にしてくれないんだろうな……
もう、誰も愛してくれないのかな……

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