「健斗、買い物行くよ」
「うん」
廊下と繋がってる扉の前で健斗に向かって言えば、健斗はトタトタと近付いてくる。
その姿が可愛くて思わず頬が緩む。
健斗は連れ出さないとあまり自分から外に出かけようとしないから、こうして仕事がない休みの日にしょっちゅう連れ出す。
合鍵も渡してるし、自由に使っていい金も渡してるのにな……なんて。
まあ、出掛けないだけで元気そうならそれでいいんだけどな。
「何か欲しいものある?」
大型のショッピングモールに出向き、モール内をぶらぶら歩きながら隣を歩く健斗にそう聞くと健斗は首を横に振った。
「いらない」
「…そっか」
何も買わずに帰るのもな……
そう思っていろんな店回って健斗の反応見るけどあまり変化がなくて、結局自分の物と健斗に似合いそうなものを見繕って買うだけになる。
荷物を一旦車に乗せて、ゲームやDVDの売ってる店に入ってぐるぐる回っているとやっと健斗が立ち止まってじっと商品を手に取って眺めた。
「欲しい?」
「違っ……新しいの出てるなって…思って」
そう言いながら元の場所に戻そうとしてる手を上から握ってそれを阻止して、健斗の手からそれを奪う。
「ぁ……」
「欲しいなら欲しいって言っていいよ」
「……」
「欲しい?」
健斗の目の前でちらつかせると、目線をそらして小さく頷き「ほし、ぃ…です」なんて小さな声で言った健斗。
なんて可愛い子なんだろう、なんて。
俺は微笑んで健斗の頭をくしゃくしゃ撫でて、他に欲しいものはないか聞いた。
「まだ、いいの…?」
「いくらでも」
俺がそう言えば、欲しいものがあるらしく俺の腕を引きながら今日一番の楽しそうな顔を浮かべた健斗。
そんな健斗を見ながら好きな子にはいくらでも貢げる気がするのは俺だけなのだろうか、なんて思った。
ー To be continues ー