7.コスプレをする 


「お前らどれ着たい?」


買い物から帰ってきて早々、服の違う和泉と健斗にあまり反応を示さずに宏斗は若干拗ねてる2人の前に幾つかの女性ものの衣装を並べた。
メイド服やチャイナ服からセーラー服やブレザー、童話のプリンセスの服から彩りみどりだ。


「これどうしたの?」
「買ってきた」
「女物しかない…」
「似合いそうだったからな」


それぞれの問いに返し、2人に選ばせる宏斗と侑亜。


「僕、メイドさんがいい」
「前着ただろ?ダメ」
「けち」


メイド服に手を伸ばした和泉だったが、宏斗にすぐさま奪われぷくっと頬を膨らませた。


「俺、なんでもいい…」
「ならメイド着るか?」
「ん、いいよ」


宏斗から侑亜がメイド服を受け取り健斗に渡す。
和泉はそれを見てぷくっと頬を膨らますが、目の前にあったブレザーに手を伸ばした。


「これならいい?」
「いいよ」
「じゃあ着替える…健斗くん行こ」


お互いに着替える服を持って、和泉は健斗の手を引いて隣の部屋に入っていく。
パタンとしまった扉を見つめていた宏斗と侑亜はお互いに顔を見合わせてニヤリと笑った。


「あっさり行ったな」
「和泉は若干拗ねてたけどな」
「そこも可愛いんだろ?」
「まあな」


2人が着替えている間、宏斗と侑亜は残った衣装を片しながら今か今かと待っていた。
その頃、和泉と健斗は遊びながら着替えていた。


「スカート短い」
「でも似合ってる」
「?健斗くんも似合ってるよ?」
「嬉しくない」


くいっとスカートの裾を掴んで下に引っ張る女子高生和泉とフワフワしたメイドドレスを着たメイド健斗。
性別は違えど、そこら辺にいる女の子よりは確実に可愛いし似合っていた。


「ね、宏斗たちのとこ戻ろ?」
「え……むり、恥ずかしい」
「可愛いからだいじょーぶ」


恥ずかしがる健斗の背中をぐいぐい押して部屋から出そうとする和泉。
そんな2人がリビングへ戻ると、宏斗と侑亜がまず初めに健斗を目にして固まった。


「ほら……やっぱり似合わないんだよ」
「えー?そんな事ないよ…可愛いもん」
「和泉さんの目がおかしいんだよ」
「そんな事ないってばー」


和泉が健斗の背中から姿を現すと、健斗を興味なさそうに見ていた宏斗が口元を押さえ、侑亜は2人を見比べて顔を覆った。


((可愛すぎる…))


予想以上だったのか2人の心の声が一つになった瞬間だった。
そんな2人を知ってか知らずか和泉は健斗の手を引いて2人の目の前に行き、和泉は宏斗の前に立って後ろで手を組んでコテンの首を傾げて若干上目遣いになりながら見上げた。


「ひろ?似合う?」
「あぁ…すげー似合ってる」
「よかったあ」


ふにゃんと嬉しそうに笑った和泉を思わず抱きしめた宏斗は内心、今すぐ持ち帰って抱き潰してぇとか思っていたんだとか。

侑亜の目の前に残された健斗は、不安そうに侑亜を見つめて弱々しく名前を呼んだ。


「ゆー、あ…?」
「ん?あぁ…すごく似合ってるよ」
「…嘘つき」
「本当だって」


ふわりと健斗を抱きしめた侑亜は健斗の耳元で「すげー可愛い」と囁くと、健斗は恥ずかしそうに顔を埋めて抱きついた。


「嘘つき…//」
「本当だってば…」


どうしたら信じてくれるのだろうか、なんて考えながら侑亜は宏斗と顔を見合わせ、なにを着せようかとアイコンタクトをとっていた。


ー To be continues ー


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