もうすぐ帰ってくる。
ゆーあが仕事から帰ってくる。
時計とにらめっこしてカウントダウンを心の中でしてると、ちょうど0のときにガチャッと鍵の開く音が聞こえた。
ぴったりだった事がちょっと嬉しくて急いで出迎えに行くと、ゆーあが靴を脱いで上がってきて俺を見て微笑んだ。
「ただいま、健斗」
「おかえり」
俺の方に、リビングに向かって歩きながら言ったゆーあは俺の横を通り過ぎる時にポンポンと頭を撫でて歩いて行って、すごく疲れてるんだなって思った。
今日、キスしてくれなかった。
いつもならおでこか頭か口の何処かに必ずしてリビングに入っていくのに…
別に、だからと言って寂しいわけじゃないけど……でも、ちょっと悲しかった。
ゆーあの後を追うようにリビングに入ると、ゆーあはソファに身を投げてダラーっとしてて、やっぱり疲れてたんだなって改めて思った。
ゆーあの側に近付いていって目を瞑って天を仰いでるゆーあの頭をサラッと撫でると、ゆーあの目が開いてバチッと目が合って、急に恥ずかしくなって手を引っ込めようとしたけどゆーあに掴まれて出来なかった。
「もっと撫でて……気持ちいいから」
「…うん」
俺の返事を聞いてからまた目を瞑ったゆーあ。
言われた通り撫でると気持ちよさそうに口角が上がってて、ちょっと嬉しくなった。
だから、いつもしてもらってばかりだからたまには自分からするのも悪くないなって思ってちゅって触れるだけのキスをしてみた。
キスしてからゆーあの反応が知りたくて離れると、驚いた顔しててやっぱりちょっと嬉しかった。
「いつも…ゆーあばっか、だから」
「いつでも好きな時にしてくれていいよ」
嬉しそうに微笑んで俺を見るゆーあ。
絶対、怒らない……ゆーあだけが俺の味方。
俺の王子様。ヒーローなんだ。
「ゆー、あ……すき」
「俺も好きだよ」
そう言って「こっちおいで」って俺を呼ぶゆーあの元に行くと、抱きしめられてたくさん甘くて蕩けそうな程のキスをされた。
ー To be continues ー