12.いちゃいちゃする 


「宏斗? 動きにくいー」
「大人しく掴まってろ」
「んもう」


和泉が「僕がやる」なんて言ってキッチンに入っていったら、宏斗がその後を追って和泉を後ろから抱きしめて邪魔をしているようだった。
相変わらずだな…なんて思いながら俺はベランダに出て煙草を吸っていた。

宏斗も和泉も、やっぱり互いの機嫌が良ければいつでもどこでもいちゃいちゃし出すんだよな…
まあ、喧嘩して泣きつかれるよりマシだけど。
なんて考えていたら後ろから何かに抱きつかれた。
顔だけ後ろを向けてその人物を見ると、それは健斗だった。


「どうした? 健斗」


煙草の火を消して振り返って俯いてる健斗の頭を撫でる。
寂しくなった、かな?
なんて思ったけど違ったみたいだった。


「和泉さん、たちの…真似」
「クスッ…ならこっち」


引き寄せてぐるっとまた外の方を向いて健斗を後ろから抱きしめた。
ほんと、これは和泉に感謝するしかないな。
こんなに可愛い健斗を見れるなんて。


「ゆ、あ…?」
「こうしたら同じだろ?」
「ぅ…も、いい//」


もぞもぞと逃げ出そうと腕の中でもがく健斗。
本当に可愛いな…食べてしまいそう。

でも、そんな事はしたくないから腕の力を緩めてあげると急いで逃げ出した健斗。
部屋の中に入っていった健斗をゆったり追いかけるように俺も部屋に入ると、ちょうどいちゃいちゃする事に満足したのか和泉がお盆にコップを乗せた和泉が近付いてきて机にお盆置き、ソファに座った宏斗の隣に座った。


「こっちだろ」
「わあっ」
「やっぱ落ち着くわ…」
「もー」


俺に背を向けて座る健斗の隣に座る頃、ソファに座っていた宏斗が和泉を自身の膝の上に座らせて後ろから抱きしめて肩に顎を乗せていた。

健斗はそれをじっと見つめてふいっと顔をそらした。
本当に可愛いな…


「ゆうくん…それ取って? 動けない」
「侑亜、俺のも」
「まったく…」


困ったカップルだな、なんて思いながら和泉が用意したコップを2人に渡して自分のを持ってまた健斗の隣に座った。

そのまましばらくグダグダ話していると、健斗がストンと俺の膝の上に座ってもたれかかってきた。
また真似、かな……なんて思いながらいつでも逃げ出せるように緩く抱きしめる。


「ゆー、あ……あったかい」
「落ち着く?」
「ん……多分」
「ならよかった」


これで落ち着かないなんて言われたらどうしようかと思った。
けど、宏斗達がいるのにこうして甘えてくるの珍しいな、なんて思いながら俺は宏斗と変わらず馬鹿な話で盛り上がって互いに可愛い恋人に拗ねられる話はまた今度。


ー To be continues ー


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