10.獣耳 


何処から取り寄せたのか、その薬を飲むと獣耳が生えてくると言う謎の薬を何も知らない和泉と健斗に飲ませた宏斗と侑亜は、薬の効果が現れ始める1時間の間和泉と健斗を部屋に置いて外に出ていた。
その頃、和泉と健斗はいつも通りキャッキャと遊んで戯れていたが、急に眠くなったのか和泉は寝室へ行ってベッドに潜り込み、健斗はソファの上でタオルケットを羽織り丸くなってそれぞれが眠りについた。

2人に薬を飲ませてから1時間が経過し、宏斗と侑亜が戻ってくると健斗は部屋の隅でタオルケットを頭から被り顔だけ出して丸くなっており、和泉は相変わらずベッドの上で布団に包まっていた。


「健斗、和泉は?」
「……ベッド」
「だってよ、宏斗」


健斗の目の前にしゃがみ込んで聞いた侑亜にボソリと答えた健斗に、侑亜が振り返って宏斗に言えば宏斗はスタスタと寝室へと向かった。

相変わらずだな、なんて宏斗を見送った侑亜は再び健斗に向き直りタオルケットの上から頭を撫でた。


「見せて?健斗」
「やだっ」
「大丈夫だから」


優しく諭しながら侑亜が言えば、そろそろとタオルケットを外した健斗。
その頭には虎耳が生えており、ピョコピョコと動いていた。


「クスッ…可愛い」
「笑うなよぉ//」
「ね、鳴いてみて?」


侑亜が健斗の頭を撫でながらさりげなく虎耳を触るとピクッと反応する健斗。
もっと意地悪したいな、と内心 侑亜は思いながら微笑みかけて健斗に鳴いてみせろと言う。
健斗はそう言われ、うーうー唸りながら覚悟を決めたのか、ほんのり赤い顔で侑亜を見つめた。


「が、かおー?」
「……いい」
「いい?」


侑亜に言われた通り鳴いてみせた健斗。
そんな健斗が侑亜のナニかに触れたらしく心の声が漏れた侑亜に、健斗は首を傾げた。
そんな健斗を侑亜は抱きしめて顎に手を添えて上を向かせた。


「据え膳食わぬは男の恥ってな……あいつら居なかったらそのまま食べてたのにな」
「ゆ、あ…?」
「でも、キスはさせて」


侑亜はそう言うとそのまま何かを言いかけた健斗の唇を言葉と共に奪った。

一方その頃、寝室では相変わらず和泉が布団に包まっており、寝室に入った宏斗は静かに近付いて膨らんでいる布団を撫でた。


「和泉、出ておいで」
「いやっ、やだ」
「はぁ…」


いやいやと駄々を捏ねる和泉に宏斗はため息を吐くと勢いよく布団を剥ぎ取った。
布団を剥ぎ取られて驚いた和泉が顔を上げて宏斗を見、すぐに顔を赤く染めてベッドに顔を埋めた。
そんな和泉の頭にはうさぎの耳が生えており、その耳は真っ白だった。


「可愛いな、和泉」
「ふにゃっ//」


ベッドの端に座り、和泉の頭に生えてるうさ耳をスルリと宏斗が撫でるとピクンと跳ねて鳴いた和泉。
和泉は更に耳まで真っ赤に染めてグリグリと額をベッドに押し付けていた。
それを見た宏斗は内心、このまま犯したいなんて思っていた。


「気持ちよかったのか?」
「やっ、ちがっ……ひ、ひろ…だめっ//」
「ダメじゃねーだろ」
「にゃうっ///」


うさ耳を撫でる度、ビクビク反応する和泉が面白いのか可愛いのかひたすら撫で続ける宏斗と、撫でられる度にビクビク反応して声を漏らしていやいや首を振り続ける和泉。


「和泉、こっちむけ」
「やっ…むりぃ///」
「キスしたくねーの?」
「ぅ…した、ぃ」
「だったらこっち向けよ」


宏斗の声にそろそろと顔を上げた和泉を抱き寄せて自身の膝の上に座らせてうさ耳の付け根辺りを撫でながら何度も何度も触れるだけのキスを繰り返す宏斗に、先を求めるように口を薄く開いた和泉。
宏斗はそれを微笑ましく思いながら期待に応えるように舌を忍ばせて絡ませ、弄ぶ。


リビングと寝室で2組のカップルが熱く口づけを交わすある日の午後の事。


ー To be continues ー


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