9.友達みんなと遊ぶ 


「ゆーくーん!遊びに来たよ!」
「邪魔するぞ」
「いらっしゃい。和泉、健斗なら部屋にいるよ」
「わかったー」


和泉と宏斗が遊びに来て、和泉が嬉しそうに廊下を駆けていく。
そんな和泉を俺と宏斗は微笑ましく見守る。


「賑やかになるな…」
「嫌じゃねーだろ?」
「まあね」


和泉がこうして宏斗と来てくれるのは嬉しいことだ。
喧嘩したわけでもなく、笑顔で来てくれることは。


「宏斗!ゆうくん!はやくー」
「はいはい」
「せっかちなお姫様だな」
「和泉だしな」
「もー、はやくー!」


リビングの扉から顔を覗かせて未だに玄関にいる俺たちを呼び寄せる和泉。
その後ろから健斗もこちらを伺うように見ていて、その姿が可愛いなと…そう思った。


「侑亜、顔緩んでるぞ」
「天使達が可愛くて思わず」
「天使は和泉だけだろ」
「宏斗にしたら、でしょ」


宏斗にしたら健斗は和泉を危険な目に合わせた子だけど、俺にとっては可愛い世間知らずなお姫様なんだけどな…なんて。
まあ、はじめは宏斗同様に健斗に嫌悪を抱いてたから何も言えないけど。

なんて話しながらリビングに入ると、トランプが机の上に置かれてた。


「ね、トランプやろー?」
「ババ抜き…とか七並べ、とかやりたいな」


和泉と健斗がそれぞれ言って、立ってる俺たちを見上げる。

仔犬みたいな顔して…可愛いな。
そう思ってるのはきっと宏斗も同じだと思う。


机を囲うように座って、トランプを箱から取り出して切りながらババ抜きと七並べ、どっちがやりたいか聞くと健斗と和泉が声を揃えてババ抜きと言った。
双子かよ、なんて思いながらカードを配って揃ったカードを捨ててババ抜きスタート。


はじめは順調で、宏斗が和泉に意地悪して抜く場所をワザと指定したり、俺が健斗に同じようにしたりして遊んでて、最後には健斗と和泉の一騎打ちになって和泉が負けた。


「ひろの意地悪」
「心理戦だろ、これは」
「ゆーあも、意地悪だった」
「そういうゲームだしな」


和泉も健斗も相変わらず可愛くて、宏斗に対して怒って拗ねる和泉はやっぱり可愛いし、分からないようにして拗ねてる健斗もまた可愛い。
どうしてこんなに可愛いのかな…


「ゆーくん、もっかい!」
「また負けるんじゃね?」
「今度は勝つもん」
「どーだか」


普通に話してるだけでもこの2人は恋人って感じなんだよな…和泉から好きすきオーラ出てるし、宏斗もなんだかんだ和泉しか見てないし。
なんて考えながらトランプを掻き集めて切りながら健斗を見ると、宏斗達を羨ましそうに見つめていた。
よく見ないと分からないけど。


「健斗、おいで」
「?」


健斗を呼べば不思議そうに近付いてきて、俺は抱き寄せて膝の上に座らせた。
それにびっくりしたのか恥ずかしいのか逃げ出そうともがき出した健斗に、俺は耳元で「もう少しいて」なんて言えば健斗は大人しくなった。

カードを切り終わって配ると健斗は隣に移動してまたババ抜きを始める。
まあ、結果は分かりきった事だけど。


ー To be continues ー


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