喧嘩両成敗、とは

「離してください」


相手を拒絶する様な声色を発する女の子は必死に相手の手を振り解こうと腕を振っていて、それでも男女の差は歴然で離れることは無かった。


「はーいストップストーップ」


柚稀が3人の間に割るように入ると、女の子の手を掴んでる男の肩にポンと手を置いた。


「君さ、このパーティどこが主催か分かってる? 俺ん家よ?」
「だったら何だって言うんだよ。俺が誰に声かけようが勝手だろうが」
「うーん、まあ確かにそうなんだけどぉ……」


パシッと叩かれた手を撫でながら柚稀は憐に目線を向け、柚稀の意図を読み取った憐は男の腕を掴み軽く捻り上げた。


「いててて……何すんだよ」
「何って主人に手を上げたからですがなにか?」


しれっと言い放った憐に男はぐっと言葉を飲み込んだ。

憐が男の気をそらしてる間に、柚稀は侑亜と今まで腕を掴まれていた女の子の方を見ると女の子に微笑みかけ「もう大丈夫だから」と優しく声をかけると、侑亜を一瞥し、顎でもう行けと……女の子を連れてここから離れろと指示をし、侑亜は静かに頭を垂れると震えている女の子の肩をそっと抱いてその場を離れた。


「て言うか、嫌がってるのに強行するのって最低だと思うのよね、俺」


侑亜達が離れ、姿が小さくなってから柚稀は振り向きざまに男にそう言い放った。


「分かるけどそれ今言うか」
「うっせーな。今思ったんだからいいだろ」


男そっちのけで小競り合いをする2人に痺れを切らしたのか男が憐に掴まれてる腕を振りほどき、2人を睨みつけた。


「お前らなんなんだよ!」
「何って柚稀様だけど」


けろっとさも当然の様に言い放った柚稀に憐は呆れたように笑った。


「あ、そうそう。喧嘩はこいつの担当だから俺に売らないでね」


親指を立て隣に立つ憐を指す柚稀に憐は「こいつってなんだよ」と小言をぶつけるが、柚稀はそれを軽く流して男をまっすぐ見つめた。


「ていうか、うち主催のパーティーで騒ぎを起こされるの困るんだよね〜。だから、ちょーっと表出ようか」


にっこりと営業スマイルを浮かべて男を見据える柚稀に、男は身震いをした。
そう、瞳の奥が笑っていないからだ。
そんな中、憐は余分な仕事がまた増えたと内心呆れていた。

ー To be continues……? ー



prevnext
[ back ]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -