喧嘩両成敗、とは

海堂グループ主催のカジュアルなパーティには大人のみならずその子供達も参加しており、かなりの規模のパーティとなっていた。


「なぁ憐」
「なんですか?」
「サボりたい」
「あー、確かに。でもダメです」
「ケチだな」
「言ってろ」


テンプレートな挨拶と世間話の嵐に早くもうざったくなった柚稀が自分の後ろに控えてる頭の先からつま先まで黒で統一されてる憐に絡み出した。

普段、光に溶けるような銀髪をしている憐が一時的にも髪を黒く染め、さらにはその長めの前髪を掻き上げオールバックにしているのだ。
柚稀や、普段の憐を知る者たちからすればそれはそれは可笑しなものだろう。
だが、形式上では雇い主と護衛という形の柚稀と憐はその蓋を取ってみればただの仲のいい幼馴染みの2人で、会場にいる誰よりもフランクな仲である。
その証拠に


「敬語崩れてるぞー? く・す・の・き君?」
「少し黙っててもらえませんかね、柚稀"様"?」


なんて皮肉を言い合うほどだ。
そんな言い合いをしている最中でも憐の目は会場全体を見渡しており、護衛としての仕事を全うしていた。

そんな時だった。

同業で、普段は派手な髪を黒く染めて上から下まで全身真っ黒に統一した侑亜を見かけたのだ。普通に対象者の護衛ならば憐は気にも留めなかったのだが、侑亜はその対象者に背を向け遠ざかっていたのだ。


「……どうした?」
「侑亜のやつ、どこ行く気だ?」


じっと一点を見つめる憐に柚稀は声をかけ、憐と同じ方向を向きその対象を捉えた。
そして、なにかを思いついたように楽しそうに笑った。


「よし、行くか」


柚稀はそう言いい、侑亜の方へと足を向けたので憐は必然的に柚稀を追う形で気になっていた侑亜の元へと歩みを進めた。


侑亜の向かった方へと2人が近づいて行くと、そこにはドレスを着たパーティの参列者であろう見知らぬ女の子とその子を庇うように立つ侑亜、そしてこれまたパーティの参列者らしき男が女の子の腕を掴み侑亜に何か話していた。
知り合いで庇っているのかはたまた……と目の前で繰り広げられている状況をみて、憐は様々な憶測をした。




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