短めの噺 | ナノ




ぱにゃにゃんだー(御三家+瑛侑)

「嘉純、ちょっと"ぱにゃにゃんだー"って霧人に向かって言ってみ?」


何処で入手したのか、例の如く侑亜の家に集まっていた和泉たちの所へ侑亜が近づき、霧人を指差しながらそう伝えた。


「ぱにゃにゃんだー…?」


小首を傾げながら嘉純が言葉を紡ぐと、それを聞いていた霧人はあまりの可愛さに顔を覆った。


「あら、霧人くんが悶え出したわ……破壊力抜群ね」
「次、和泉言ってみ」
「ぱにゃにゃんだーっ」


楽しそうに瑛祐と並んで見ていた侑梨と、そんな侑梨とこの場にいる全員を見て癒されていた瑛祐はダイニングテーブルで離れて事の成り行きを見守っている。
そんな中、1人ケラケラと笑っていた宏斗だったが、侑亜の差し向けによって事態が一変した。


「おいおい、雄の顔した宏斗が和泉を連れ去ったぞ……あいつ、マジで理性というもんが皆無だな」
「まあ、和泉が両手あげてにこにこ満面の笑みで可愛かったからそれに負けたのよ。かわいいじゃない、あの子」
「まあな」


光の速さで和泉を抱き上げて早々に帰宅した宏斗に、瑛祐と侑梨は他人事のように見送っていた。
和泉が2人に助けの手を述べたように感じたが、それよりも先に消える方が早かったのだ。
恐るべし、野獣宏斗(笑)

この光景をひっそりと見守っていた健斗は、楽しそうに笑っている侑亜に近づくと服の裾をくいくいと引っ張って見上げた。


「ん? どうした?」
「ぱ、ぱにゃにゃんだー……っ//」


顔を赤く染めながらじっとまっすぐ侑亜を見つめながら言う健斗に、侑亜は思わず顔を覆った。
効果は抜群だったようだ。


「あらあら、侑亜もやられてやんの。みんな恋人に弱いわねぇ……」
「お、調べたら出てきたぞ」
「なにが?」
「あいつらが軒並み恋人に殺られてる言葉の意味だよ。なんか、ラオス語で頑張るを『ぱにゃにゃん』、頑張ってを『ぱにゃにゃんだー』って言うんだってよ」
「へぇ……」
「興味ない感じ?」
「見てる方が楽しかったから」
「まあ確かに」


クスクスと笑い合う瑛祐と侑梨。
それぞれ復活して恋人たちといちゃつき出した2組と、家に連れ去られ熱い熱い恋人の行為をしているであろう和泉と宏斗。

今日も今日とて平和な日。
彼らにとってほんの一部に過ぎないとある日の日常なのです。


ー END ー



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