ワンライ企画 | ナノ





雪の降った日


「わあ! 雪だあ」



寒いな、なんて思って外を見たら雪が降っていて思わず宏斗の腕から抜け出して窓の方に駆け出した。

真っ白い雪が空から降ってきてて、すごく綺麗で冷たい窓に手をついてじーっと外を眺める。



「どうりで寒いわけだ」
「あ、宏斗も来たの?」



窓に張り付いていた僕を窓から引き離して後ろから抱きしめてきた宏斗に、僕は顔を上げて見上げる。

宏斗にくっついてるとあったかい。
それに安心するし落ち着く。



「和泉の手、冷たくなったな」



そう言って宏斗は僕の両手をまとめて包み込んでくれた。
宏斗の大きな手にすっぽりと収まった僕の両手。
じんわりと宏斗の暖かさが僕に伝わってくる。



「宏斗の手、あったかい」



宏斗の手の中から抜け出して、今度は僕が宏斗の手を両手で挟んでぎゅっと握る。



「ここじゃ冷えるし、あっち行くぞ」
「うん」



宏斗に手を引かれてまたソファに移動する。
ソファに座った宏斗の膝の上に跨って座ると、腰に腕を回されて引き寄せられた。



「わあっ」



いきなりの事で、バランスが崩れて宏斗の肩に手をついたけどそのまま抱きしめられたからもたれかかる体勢になった。



「和泉あったけぇ」
「んーっ! 苦しいっ」



ぎゅーっと力いっぱい抱き締められて、身動きが取れなくてもぞもぞと動くと、更に抱きしめられた。

宏斗とくっつくのは大好きだけど、苦しいのは嫌い
いちゃいちゃするのも大好きだけど、痛いのは嫌



「なあ、和泉」
「なあに?」
「思ってること全部俺に言えよ?」
「ちゃんと言ってるよ?」



嫌なことも、嫌いなことも、全部全部言ってるよ?
好きも、大好きもずーっと言ってるよ

なのに、なんでそんな事言うのかな?
僕、宏斗に言ってないことないのに……
寂しいって事ぐらいしか。

でもね?宏斗を困らせたくないから言わないの。
僕だけの宏斗じゃないから
だから僕が宏斗を独占していいのは家にいる時だけなの。
だから寂しいなんて言わない。



「本当か?」
「本当だもん」
「ならあのぬいぐるみ、要らないだろ?」
「ダメッ!」



宏斗が指差した宏斗がくれたおっきなクマのぬいぐるみ。
僕の宝物
宏斗にぎゅっとできない時に抱きつくと安心できる大切なぬいぐるみ。

絶対に必要な大切な物。



「……分かってるよ。捨てないから泣くなって」



宏斗はそう言うと僕のほっぺを撫でた。
そして、ちゅっと触れるだけのキスをしてくれた。

それが嬉しくてふにゃんと笑って抱きつく。



「泣いてないもん」
「泣いてたよ」



宏斗の匂いを肺いっぱいに吸い込む
大好きな人の大好きな匂い
僕の精神安定剤

宏斗が居ないと僕は死んじゃうから
宏斗が僕の全てだから
だから僕は何度だって言う



「大好き」
「知ってる」



宏斗が愛してくれないと僕、死んじゃうよ



ー END ー



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