ヒト目蛇科犬属性
蛇目 魁刃は蛇顔だ。

周りの人間から「あの人蛇っぽいよね」とよく言われる程には蛇に近しい顔をしていた。
もちろん本人はそのことを自覚していたし、そう言われるのを心底嫌っている。

そんな魁刃は今、廊下を1人ふらふらと歩いていた。
怠そうに、そしてつまらなそうに歩いていた魁刃はふと鼻を掠めた匂いに反応した。


「……あ、憐の匂い」


クンクンと鼻を鳴らしながらその残り香を辿るように、憐のいるであろうその場所を目指し歩き始めた。

そんな魁刃がたどり着いた場所は生徒会長である諒の城であり、憐のよく入り浸っている場所でもあった。
そして魁刃が扉を開けて中に入ると、部屋の中央にあるローテーブルを挟むように向かい合って鎮座するソファの片側にお目当ての憐がおり、魁刃は憐を捉えると顔を綻ばせた。


「やっぱいた」
「やっぱってなんだよ」


ソファに寝そべり、スマートフォンを操作していた憐は魁刃を一目し、そう言葉を返した。


「廊下歩いてたら憐の匂いがして、だからその匂い辿ってきた」


軽く弾みそうな軽やかな足取りで憐の向かいのソファに腰を下ろす魁刃に、憐は「犬かよ」と一言返しふっと笑うと再びスマートフォンの画面に目を戻した。


「蛇、ノック」
「あ、やっべ。忘れてた……っていうか蛇じゃないし!」


生徒会室の入って正面奥、つまり今憐たちのいる更に奥の方で1人デスクに向かって作業していた諒がカタカタとパソコンとにらめっこしながら魁刃に声をかけ、魁刃は普通に返したが途中で諒の言葉を思い出し反発した。

諒や憐だからこそ蛇だなんだと揶揄っても魁刃は軽く返すだけだが、これが他の人だと形相が変わってしまう程に怒る。
でもそれは憐達が好きだからであり、決して贔屓とかではない……ハズである。


− END −


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