その壁、ぶっ壊してやる


ゆっくりと余韻に浸るように離して見つめると、乙葉は涙を零しながら縋るように見つめ返してきた。
やべぇ……このまま全部食べ尽くしてぇ。
でもまだだ。まだ我慢だ……



「すげーかわいい」
「かわいく、ない……よ、ばか」
「そんなとこもすげー愛おしい」
「やめて」



ふいっと俺から顔をそらした乙葉は、さっきまでの覇気はなく萎れた花のように大人しくなった。



「どうした?」
「……もう、わからない」
「なにが?」
「どうしたらいいかわからない、の……ねぇ、どうしたらいい?」



再び俺を見据えてきた乙葉は、縋るように……答えを求めるように俺を見てきた。
そんな乙葉を俺はそっと、だけどきつく抱きしめた。



「だから言ってんだろ? 黙って俺に愛されてろってな」
「そ、んなの……いや」
「俺に頼ったお前が悪い」
「いや……いやよ、いや、愛されなくない」



愛されなくないと言いながらも俺に縋りつく乙葉は、いやいやと首を横に振る。
本当に愛らしいな。



「あぁそうだな。愛されてろ」
「なんでそうなるのよぉ……ばか」
「愛してるからな」
「も、だまって……」
「キスしてくれたら黙るかもな」



そう言えば、やっぱり殴られた。
それでも、もう逃げるのは諦めたのか俺の腕の中に収まったままだった。



「俺に愛される気になったか?」
「もう、好きにしたらいいじゃない……やめてくれないなら」
「じゃあ遠慮なく」



俺はそう言うと抱き上げてベッドまで運ぶとそっと降ろして押し倒して覆い被さり、顔を撫でつつ髪を退けた。



「な、に……する気?」
「飯の時間に呼ばれるまでいちゃいちゃでもしようかと思ってな。嫌という程めちゃくちゃに愛してやるよ」



今から起こることに怯える乙葉を俺は愛おしく思いながらそっと撫でて慈しむようにキスをする。

愛おしくてたまらない、可愛くて仕方のない乙葉を俺は時間の限り甘やかして愛する。



「乙葉、すげー愛してる」
「うるさぃ」



あぁ、すげーかわいい。
これから先が楽しみだ。

ー END ー



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