熱い熱い、そして甘い。 「ひとり、やっ」 「ん、ごめんな。もう和泉を置いて何処にも行かないからな」 「ん」 ぐりぐりと甘えてくる和泉の頭を撫でながら落ち着くのを待つ。 しばらく珈琲を飲みつつ撫で続けていると、和泉の動きが止まり、まだまだ荒いが寝息が聞こえてきた。 そのまま顔に掛かってる髪を退かして顔を見れば、横顔でも分かる苦しそうな寝顔。 そんな和泉を早く楽にしてあげたくて、俺に巻きついてる腕をそっと離して仰向けに寝かせたら額にかかる髪を退かして熱さまシートをぺたりと貼り付けた。 「ん、ぅ……」 冷たかったからかピクリと揺れた和泉だったが、目を開けることなく軽く寝返りをうって寝ている。 そんな和泉を可愛く思いつつ俺は侑亜に電話をかけた。 数コールして出た侑亜に事情を簡潔に説明して買ってきてくれないかと話したら、案の定自分で買ってこいとの事。 「それが無理だから頼んでんだろ?」 「だったら霧人に頼んでくれ。俺だって今日は忙しいんだよ」 なんて言うと侑亜は珍しく一方的に電話を切った。 本当に忙しいのか、あいつ……だったら悪いことしたな。 早々に頭を切り替えると、軽く魘されている和泉を撫でながら今度は霧人に電話をかけた。 「どうしたの? 宏斗から電話なんて珍しいね」 「あぁ。早速で悪いがプリンとスポドリ買ってきてくれねーか?」 2コールもしないうちに出た霧人に、俺は説明も早々に話を切り出した。 和泉を早く楽にしたい一心で。 「そんなの自分で買いに行けばいいでしょ……電話聞く限り元気そうだけど?」 「俺はな。けど和泉が熱で魘されてんだよ。そんな和泉を1人にして買いに行けると思うのか?」 「なるほど、和泉くんがねぇ……分かったよ、買ってくる。他に欲しいものは? ついでだし買っていってあげる」 「他はなんでもいい。とりあえずプリンは絶対な」 「はいはい、分かったよ」 霧人の返事を聞いた俺は電話を切り、苦しそうに眠る和泉をそっと撫で続ける。 もう少しで楽になるからな……もうちょっとの辛抱だぞ。 今回の眠りはそれなりに深いのか目を覚ます気配がないので、俺はそっと離れると空になったマグカップを持って寝室を出た。 そして、キッチンに立つと洗い物をして一人前用の土鍋を取り出すとお粥の準備をする。 たまご粥の方がいいか? それとも白粥か…… 雑炊の方が食べやすいか? なんて考えながら冷蔵庫を漁り、準備をする。 それにしても、急だったな……寝るまではいつも通り元気だったのにな…… まさか、俺に心配かけまいと気丈に振る舞ってたのか? 和泉だし、それもあり得るよな……それか、単に疲れが出たのか。 「どっちにしろ、気付けなかった俺の責任か」 和泉はなんでも我慢する癖があるからな…… 俺が気付いてやらないと、だな。 気を付けねぇとな。 [2/4] |