熱い熱い、そして甘い。 朝、まだ眠気の残る中俺の腕の中で眠る愛おしい和泉をそっと撫でると、和泉は瞼を震わせて目を開けた。 「はよ、いず」 「ん……寒い」 もぞもぞと更に隙間を埋めるように引っ付いて布団に潜り込んだ和泉。 確かに寒いが、そこまで寒いわけでもない気もするが…… なんて考えながらもしっかりと抱きしめて口元まで布団を掛けてあげて密着するように包み込む。 「まだ寒い?」 「ん、さむ、ぃ」 身体を震わせて更に密着しようとすり寄りしがみ付いてくる和泉。 すげーかわいいが……布越しに伝わってくる和泉の体温が心なしかいつもよりも高い。 もしかして、熱か? そう思った俺は、ぐりぐりと額を俺の胸元に押し付ける和泉をそっと離させて額に手を当てた。 やっぱり、すげー熱い。 「ひろの手、きもちぃ……」 「和泉のおでこは熱いな」 熱のせいか、ふにゃりと締まりのない笑みを浮かべる和泉に俺は手を離すとまたそっと抱きしめた。 今日の予定は全てキャンセルだな。 大事な嫁の方がよっぽど大事だ。 「ん、ぅ……」 「もうちょい寝てな、和泉」 「……ん」 ぽんぽんと背中を撫でてやると、熱があるからか和泉はすぐに眠りについた。 荒い息を繰り返しながら苦しそうに眠る和泉から離れるのを惜しみながらもそっと起こさないように離れると、隙間のないように布団を掛け直してあげてから俺はリビングに移動した。 自分用の珈琲を用意しながら冷蔵庫を開けて和泉が簡単に食べられそうなものがないか見る。 だが、何もなかった。和泉の好きなプリンすらも、だ。 ふとなぜないかを考えて、昨日の夕食後に食べて終わっちゃったと嘆いた和泉を思い出した。 それを見て、今日の仕事帰りに買って帰ろうと思ってたんだったな……買いに行けそうなら買いに行くか。 「どーすっかなぁ……」 侑亜に頼んで買ってきてもらうか? でもきっと自分で行けって言われるのがオチだよな…… なんて考えながら冷えピタを手に取って冷蔵庫を閉め、珈琲を片手に寝室に戻ってベッド脇のチェストの上にマグカップを置きベッドに座ると寝ていたハズの和泉が腰に巻きついてきた。 「和泉?」 「どっ、か……行っちゃ、やら…」 「うん、ごめんな」 グスッと鼻を鳴らして泣きながらぐりぐりと俺の腰に頭を擦り付ける和泉の頭を愛おしそうに見つめながらそっと撫でる。 これは、買いに行くのは無理そうだな……やっぱり、事情を話して侑亜に頼んで買ってきてもらうか。 [1/4] |