片付けたくないお雛様

「隆也くん?」

「れんかがお兄ちゃんと呼んでくれないと返事しない」


ぷいっと違う方向を向きながら体育座りをしている。

(…気持ち悪いなあ。)


「じゃあ、私も隆也くんと口聞かない」


本当はそれでも良いと思っていたんだけど、向こうは困るらしく勢いよくこちらを向いた。
よし、次からはこれを使って脅してみよう。



「っ!そ、それはイヤだ!」

「やっとこっちを向いてくれましたね?…では私の質問に答えてもらいましょうか?」


笑顔でにっこりと笑ったら阿部くんはひぃぃっ!等と言う。


…酷いなぁ、そんなに凄い顔なのかな?
 
じゃなくて!気を取り直して阿部くんをキッと睨み付けるようにしたら何故か頬を赤く染められた。


(うっ…我慢だ。れんか。)


「隆也くん?何でいつになってもお雛様、片付けないのでしょうか?」

「だって、片付けたくないんだもん」


……だもんって。


「隆也くんが言ったんですよ?オレに任せとけ!って」



それなのに全然片付く気配がない…いや、むしろ片付ける気はないのだろう。


「れんかはずっと家にいれば良いんだ。」

「開き直らないで下さい!」



(もういい。自分でやるから)
(あー!駄目だ片付けるな!)
(ちょっと!くっつかないで下さい)
(イヤだーー!)


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